廃止の京都府立中丹勤労者福祉会館 小規模活動の代替施設不足のため、福知山市が一定期間の借り受け検討
京都府は、福知山市昭和新町の府立中丹勤労者福祉会館を来年3月31日で廃止する意向を示している。しかし同会館は、平日午後のサークル活動、自治会の会合といった小規模活動にもよく使われており、廃止されれば代替施設探しが難しい。市はそうした状況を回避するため、利用者が新しい活動場所を円滑に見つけられるようになるまでの一定期間、同会館を借り受けて運営するための検討、協議を始める。 同会館は1983年に設置され、勤労者の福祉増進や文化・体育活動の場、交流の場として運営されてきた。施設の老朽化、利用者の減少などを受け、府は2021年度から府内5カ所の勤労者福祉会館の方向性を議論する「あり方検討委員会」を設置して検討を進め、中丹、城南、丹後3会館を廃止する方針を決めた。
府と市の分析に相違
中丹会館は小会議室10室(10人~60人)、中会議室(100人)、大会議室兼レクリエーション施設(360人)の全12室を備える。昨年度の利用は5621件、7万2658人で、企業や自治会、サークル、公的機関などが活用した。 市は「近隣施設で代替できない可能性がある」として、府による維持・運営を求めてきたものの、府は、午前、午後、夜間の貸し出し時間、部屋数、利用件数、人数をもとに昨年度の利用率を44%と算出し、「(近隣の)市民交流プラザ、市総合福祉会館などの施設で十分に代替可能」と分析した。 これに対して市は、府の分析には使用が多い時間帯、1団体当たりの利用人数などの実態が考慮されていないとして、「収容人数50人未満の小会議室を利用してきた団体は、ほかの施設への利用申請が重なり、特に活動の多い平日午後は、他施設で全ては吸収しきれない可能性がある」と、改めて府に維持・運営を要望した。 しかし、府は「当初の目的(勤労者の福祉向上)は達成しており、設置目的と利用実態との乖離が生じている」ことなどを理由に、方針は覆えらなかった。 中丹会館は昭和学区に2カ所ある広域避難所の一つでもあり、周辺住民の新たな避難先の確保といった調整も必要になる。市は利用団体の別施設への移行期間、避難所の代替施設確保を理由に借り受ける方針を決めた。 今後、借り受け条件、期間、運営態勢、新たな開館時期などを検討し、府と協議していく。市は「府から、維持管理費の支援なども含めた協議についての話を聞いており、4月以降のできるだけ早期に開館していけるよう進めていきたい」としている。 中丹会館を巡っては、地元や防災など市内9団体から存続の要望書が府や市に提出されている。11日に再開した市議会12月定例会本会議でも関心が高く、登壇した議員7人中3人が市の見解をただし、大橋一夫市長らが答弁に立った。