年末はメンタルが不調になりやすい季節…なぜ?心理師が教える、年末のメンタル不調への対策
年末は忙しさや特別なイベントが多いため、メンタルの悩みを抱えやすい時期です。最近メンタルの調子が悪いなと感じたら今回の記事を参考にしてください。 〈写真で見る〉心理師が教える、年末のメンタル不調への対策 ■なぜ年末はメンタルが不調になりやすいの? ■■ストレスの増加や疲労の蓄積 年末は締め作業等で仕事量が増えたり、年末に向けての大掃除など家庭での作業が増えたり、何かとストレスや疲労が溜まりやすい時期です。忙しさに追われ、自分の時間が取れないことでストレス解消もしづらくなります。 ■■孤独感を抱きやすい 年末はイベントが多く、家族や恋人、友人と過ごせない場合は孤独を感じやすくなります。楽しそうなSNS投稿を見て、自分の状況と比較して落ち込むことがあるかもしれません。 ■■家族や親族との集まりが増える 年末年始は家族や親族との集まりが増える時期です。家族間の問題を抱えている場合は、集まりがあることでストレスが増えるでしょう。また、集まりがあることで、おせち料理を作らなければいけない等と、義務感や負担感を感じている人もいるでしょう。正月は家族や親族と久しぶりに顔を合わす場になりやすく、そうすると過去のトラブルが思い出され、不安や緊張が高まることが予想されます。 ■■季節の影響による気分の落ち込み 冬は日照時間が短くなり、セロトニンの分泌量が減ることで「冬季うつ」になりやすい時期です。寒さや天候の悪さで外出や運動の機会が減ることで、より一層気分が沈みやすくなります。また、寒さや忙しさから体調を崩しやすいため、体調不良や睡眠不足がメンタルに悪影響する場合があります。 ■■「終わり」から来る不安や焦り 今年1年を振り返り、「何も達成できなかった」と自己否定的になったり、「来年はこうしなければ」といった不安やプレッシャーを感じたりしやすい時期です。特に完璧主義や白黒思考のクセがある人は、1年間のうまくいかなかった部分の方に意識が向きやすく自分を責めることでより落ち込みやすくなります。また明確な理由がなくとも、「1年が終わる」ことで虚無感に襲われることもあります。 ■年末のメンタル不調への対策 ■■忙しい中で出来る工夫をする 仕事や家庭の用事で多忙な場合は、タスクをリスト化して優先順位をつけることや、「完璧」を求めずに、いつもの80%くらいで作業をする等、現状に合わせて出来る工夫を探してみましょう。 ■■自分に優しくする 今年1年間や現状を振り返る際は、他人と比較せず、自分なりの小さな成長や充実感を味わうようにしましょう。そして、年末に「やり残したこと」ではなく「できたこと」に目を向けることが大切です。来年に向けては、過度な目標を立てず、小さな一歩を大切にしましょう。 ■■人との楽しいつながりを増やす 孤独感を減らすため、意識的に友人と会う時間を作ったり、オンラインイベント等に参加したり、人と時間や場所を共有する機会を作ってみましょう。 ■■義務感から参加する行事を見直す 自分の気持ちや時間を優先し、無理に全ての集まりに参加しないことも必要です。参加せざるを得ない場合は時間を短くする等、できる工夫はないか探してみましょう。 ■■無理にポジティブにならない 年末は落ち込みやすい時期です。無理にポジティブにならず、そのままの感情を受け入れることが大切です。年末のスケジュールに「休息時間」を組み込み、その時の気分や体調に応じてゆったりとした時間を過ごしましょう。 ■■身体に優しい食事をとる 栄養バランスを整え、消化に良いものを選びましょう。幸せホルモン「セロトニン」の材料になるトリプトファンを含む食材を取り入れることもオススメです。例えば、牛乳、チーズ、ヨーグルト、豆腐、魚、卵などです。 ■■睡眠の質を高める 寝る時間と起きる時間を一定にして睡眠リズムを調えること、軽いストレッチや瞑想など寝る前のリラックス習慣を作ること、寝室環境を整えること等、睡眠の質を高めていきましょう。なお、過度な飲酒は睡眠の質を下げ、体調不良の原因になるのでお酒は程ほどにしましょう。 ■■適度に運動する 無理なく継続できる軽い運動をして気分を整えていきましょう。また、散歩をする等、太陽光を浴びる時間を意識的に作ることが大切です。外に出られない場合でも、窓際でなるべく過ごす等、できる工夫を探しましょう。 ライター/石上友梨(臨床心理士、公認心理師)
石上友梨