菊の花がイメチェン…愛称「マム」若い世代にも人気
品種改良で色・咲き方が多様に
日本を象徴する花の一つ、菊が「マム」の愛称で新たな存在感を放っている。おしゃれな花として若い世代にも人気だ。色や咲き方も多彩になっており、洋風のアレンジに取り入れやすくなっている。 東京都渋谷区の「青山フラワーマーケット」渋谷スクランブルスクエア店は期間限定で「マム」のコーナーをつくり、濃淡のピンク色が美しい「クチュール」など8種類をそろえた。熱心に眺めていた女子大生(18)は「菊には見えない」と驚き、店長の島田郁未さんは「おしゃれという感覚で、ブーケなどに入れることも増えている」と話す。 「マム」は、英語の菊「Chrysanthemum(クリサンセマム)」に由来する愛称。多くの人に親しみを持ってもらおうと、業界を挙げてイメージアップに努めてきた。
花き卸売り大手「大田花き」(東京)の開発ユニット長、宍戸純さんによると、脇芽を取り除いて1輪だけを咲かせる「ディスバッドマム」が改良され、色や咲き方が多様になった。2023年度の取扱量は16年度比で40%増。「意欲的な生産者が多く、さらに個性的なものが登場するだろう」 花びらが立体的に重なりデコラティブ(装飾的)な「デコラ咲き」、細い花びらがクモの巣状に広がる「スパイダー咲き」など、華やかな咲き方は人気が高い。花の専門誌「花時間」(KADOKAWA)の24年秋号は、「人気の定番花」の一つに菊を取り上げた。編集長の柳緑さんは「1年を通して手に入りやすく、花持ちも良い。シックな色もあり、幅広いアレンジができる点も魅力でしょう」と話す。
組み合わせる花は同色系に
「TEN flower design」の名称で活動するフラワーデザイナー、佐々木美幸さんに、家で飾る際のポイントを聞いた。 ◇ 飾りたいマムの色を引き立てるため、組み合わせる花は同色系を選ぶ。オレンジのマムにユーカリなど銀色がかった緑を合わせるとシックで優しい雰囲気に。 葉が水につかると花持ちしない。水につかりそうな部分の葉は取り除いておこう。(読売新聞生活部 野倉早奈恵)