キレやすい子どもは「脳の栄養不足」に陥っている…内科医が勧める「子どものイライラに効く食事メニュー」
■家にこもりっぱなしはセロトニン不足につながる 食事以外にもホルモン不足を改善することは可能です。 規則正しい生活リズムをつくる 安定した生活リズムは、子どもの行動や感情のコントロールに大きく影響します。特に十分な睡眠は、脳の発達と回復に必要です。毎日同じ時間に就寝・起床する習慣をつけ、8~10時間の睡眠を確保しましょう。 また、日中に太陽光を浴びることは、セロトニン分泌を促進し、気分の安定に寄与します。夕方以降はカフェインや興奮作用のあるものを避け、リラックスした環境を整えることも大切です。 ストレスを減らす遊びや運動の習慣 運動は、ドーパミンやセロトニンを増加させ、ストレス軽減に繋がります。特に有酸素運動や外遊び、自然に触れる時間は、心をリフレッシュし、過剰な興奮や衝動的な行動を抑える効果があります。 毎日30分程度の運動が推奨され、遊びの中で身体を使う時間を設けることが、情緒の安定と集中力の向上に役立ちます。また、家族で一緒に遊ぶことで、親子間の絆も深まります。 親子のコミュニケーションの質を高める 子どもにありのままの感情や思いを表現させ、親がそれをしっかりと受け止めることで、子どもは安心感を得て感情のコントロールがしやすくなります。叱ったり怒ったりするのではなく、努力や行動に対して肯定的なフィードバックを与えることは、子どもの自己肯定感を育て、問題行動を改善するために有効です。 また、親子の時間を大切にし、一緒にいる時間を増やすことで、子どもが抱える不安やストレスも軽減され、集団生活の適応力も向上します。 ■スマホ依存、ゲーム依存はやっぱり悪影響 電子デバイス(スマートフォン、ゲーム)の利用を制限する 長時間のテレビ、スマホ、ゲームの利用は、脳に刺激を与えすぎ、集中力や情緒の安定に悪影響を及ぼします。特に寝る前は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させます。 1日のデバイス使用時間を決め、夜は早めにデバイスから離れ、リラックスできる環境を整えることが推奨されます。代わりに、読書や家族との交流の時間を増やすと良いでしょう。 今回は、増加する子どもの問題行動の観点から見た栄養不足についてお話してきました。 お子さんは皆さんにとって大切なだけでなく、これからの日本を背負っていく社会の宝物でもあります。健康な心とからだで、それぞれが持って生まれた才能を発揮して幸せに育ってほしいです。 そのために大人ができることは、正しい知識のもと栄養満点の食事を用意して愛情をたっぷり注いであげることだと思っています。ぜひ、ご紹介した内容を参考に食・生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。 ---------- 梶 尚志(かじ・たかし) 梶の木内科医院院長 1964年生まれ、富山県出身。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科卒業。医学博士。総合内科専門医、腎臓専門医として患者を診察する中で、通常の診察では解決できない「体の不調」に栄養学的なアプローチから治療と生活指導を行う。著書に『え、私って栄養失調だったの? その不調は病気でなく状態です!』『え、うちの子って、栄養失調だったの? その不調は食事で改善します!』(みらいパブリッシング)がある。 ----------
梶の木内科医院院長 梶 尚志