「米国から声が掛かれば…」ドイツで急成長の大型DFが“日本代表を選ばない”可能性は本当か?チェイス・アンリ20歳、記者の直撃に「正解はわからない」
大きなステップアップを遂げた2024年
チェイスは出場機会を与えてくれたへーネス監督への感謝を口にしつつ、激動の半年を過ごした2024年をこう振り返る。 「何も言うことないですよ。満足とは言いませんけど、今年は自分でも頑張ったと思います。チャンピオンズリーグとブンデスリーガの試合にたくさん出ることができて、これ以上ないすごくいい経験ができたと思います」 そして、ピッチ上とは異なる可愛らしい笑顔で「文句のない1年」と締め括った。 この活躍を知れば、当然、日本代表への期待も膨らむ。まだ先輩たちの座を脅かすほどではないが、最近は冨安健洋や伊藤洋輝ら最終ラインに怪我人が続出している。今後、彼らのような選手たちが不在になる可能性はあり、多くのサポーターが「有望なチェイスに早く日本代表を経験させるべき」という声が上がることはわからなくもない。 ただ、チェイス待望論の裏にはもう一つ大きな理由がある。 チェイスの父はアメリカ人、つまり将来アメリカ代表を選択する権利があるのだ。日本で生まれたあとテキサスへ移住。中1の頃に帰国し、本格的にサッカーを始めた。福島県の名門・尚志高校では高校サッカー選手権にも出場した。いわば、日本サッカー育ちのチェイスが、一度アメリカ代表としてピッチに立てば、日本代表のユニフォームを着る権利を失ってしまう。ドイツでの活躍を横目に、焦れったい思いを抱く人が多いのも不思議ではない。
米メディアでもチェイス特集
実際、先日『Goal』のUS版でこんな記事が出た。チェイスの飛躍は、ドイツを超えてアメリカにも届き始めている。 『台頭するシュツットガルトのCBチェイス・アンリがアメリカ代表と日本代表の双方から注目を集めている。彼はどちらを選ぶのか? 』 そう題された記事では、チェイスの活躍を大々的に特集。プレースタイルや現状を紹介しながら、アメリカ代表への可能性についてこう記している。 『米国の視点からすると、チェイスはすでに競争の激しいCBの陣容に値する選手となっている。マーク・マッケンジー、ティム・リーム、クリス・リチャーズ、オーストン・トラスティー、キャメロン・カーター=ヴィッカース、マイルズ・ロビンソンらが候補として名を連ねているが、CBのポジションはまだ確定していない。チェイスが代表入りを決意すれば、すぐにもこの競争に加わることになるだろう』 アメリカ代表を指揮するマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、チームへの参加を選手に懇願することはないとすでに明言しているが、二重国籍の選手とは話し合いを持つつもりだとも語っており、今後の動向は気になるポイントだ。 当の本人は、というと、現時点ではどちらを選択することは避けている。日本のメディアを前にしたとき、リップサービスであったとしても、日本を優先するような言葉を選んでもおかしくはない。チェイスの発言は一貫している。 「代表は自然に任せるという感じです。どちらかを選ぶことになったらその時はその時ですし、とりあえず今はクラブで頑張るしかないなと。 何が正解か分からないですし。どちらかというのは考えていないです」 つまりは、アメリカから先に声が掛かれば、アメリカ代表を選択する可能性があるということだろう。 日本代表で言えば、直近は来年3月のW杯予選。負傷者の状況次第では声が掛かる可能性はある。また、W杯出場を決めた後の6月シリーズは新たな選手を試す機会となるため――それよりも前にアメリカ代表が動くかもしれないが――サムライブルーのユニフォームに袖を通す機会は訪れても不思議ではないだろう。いずれにせよ、さらなる成長を遂げなければ森保一監督の選択肢に入ることはない。本人が言う通り、「来年は”新人”ではなく主力のような選手になる」ことを実現したいところだ。 新たな1年に向け、チェイスは「来年は今年と別人のような選手になりたい」と目標を見据える。急速に成長を遂げている男の次なる進化を楽しみにしたい。 チェイス・アンリ(Anrie Chase) 2004年3月24日生まれ、神奈川県出身。アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれ、3歳で渡米。テキサス州で9年過ごした後、中学1年の夏から横須賀・長沢中でサッカーを本格的に始める。FC湘南ジュニアユースを経て、2019年に福島・尚志高校に入学。身体能力を生かして1年次から活躍し、3年次には「高校ナンバーワンDF」として選手権に出場した。U-17時代から年代別代表にも選出され、22年のU23アジアカップには飛び級で招集された。高校卒業後の22年4月にドイツ・シュツットガルトと3年契約を交わし、24年8月にブンデスリーガデビューを飾った。187cm、81kg。
(「欧州サッカーPRESS」林遼平 = 文)
【関連記事】
- 【画像】「チェイス・アンリvs佐野海舟がバチバチすぎる…」森保ジャパンで早く見たい2人の超絶マッチアップ
- 【あわせて読む】逮捕報道から4カ月…佐野海舟はドイツで今「めっちゃいい。海舟がかなり回収してる」板倉滉も認めた10戦連続先発の理由「日本代表スタッフも視察」
- 【消えた天才】「お酒に逃げた」25歳で引退した堂安律の“元相棒”が初告白…“遠藤保仁の後継者”と呼ばれた天才パサーの後悔「なんであんな行動したんやろ」
- 【貴重写真】「高校生なのに金髪ピアス…」天才MFとは誰?ヤンチャそうな髪型の乾に本田、長谷部に大迫18歳、イガグリ頭の大久保に岡崎、素朴な中田英寿らの高校時代レア写真を見る(60枚超
- 【お宝】「やんちゃそうな」高校時代~18歳の森保監督、貴重なマツダ時代&「筋肉がスゴい」20代の森保さん(20枚超)