[西岡明彦]ニューカッスルとマンUが繰り広げるダイレクター職争奪戦
プレミア最強ガイド #114
プレミアリーグのシーズン最終盤、優勝争いはアーセナルとマンチェスター・シティに絞られることになりました。タイトルの行方も気になるところですが、来季のチーム編成に大きく影響するバトルにも注目のマッチアップが存在しています。 ニューカッスルとマンチェスター・ユナイテッドの争いです。この両クラブは、現在スポーティングダイレクター職の人材争奪戦を繰り広げています。 ニューカッスルで直近2シーズンの選手編成を担い、FWアレクサンデル・イサクなど貴重な戦力補強を実現したダン・アシュワーズの引き抜きをマンチェスター・ユナイテッドが画策しました。その誘いに応えるためにアシュワーズは今年2月にニューカッスルの同職を退任、次のステップへの準備を開始しました。 ニューカッスルは現在空席のポストに、現在クリスタル・パレスでスポーティング・ダイレクターを務めているドギー・フリードマンなど複数名をリストアップし交渉していると見られています。アシュワーズとニューカッスルの契約には、クラブを退任後12カ月間は別クラブでダイレクター職につくことは出来ないという条項が含まれています。一方でユナイテッドは今夏の選手編成をアシュワーズ主導で進めたい意向があり、ニューカッスルに違約金を支払うことで上記条項の解除を求める交渉を進めています。ユナイテッドは1,000万ポンドを提示してニューカッスル側の承諾を得たい考えですが、未だ合意には至っていません。 ニューカッスルにとって悩ましいのは、ライバルクラブとは経済力が異なる点です。昨年度の収入総額が約2億5,000万ポンドのニューカッスル、この額はユナイテッドの半分という現実。チーフ・エグゼクティブのダレン・イールズはプレミアリーグの収益性と持続可能性に関するルールを遵守するため、今オフの主力選手の放出を示唆したこともありました。前年度の収支で7,300万ポンドの負債があり、悩ましい状況にあるようです。 エディ・ハウ監督はアーセナルなどライバルクラブが調査しているMFブルーノ・ギマランイスやFWイサクについて、「もちろん彼らは来季の編成プランに入っているし、残留してくれると信じている。我々はもっと上を目指して戦っていきたい」と主力選手を残留させたい意向を示しています。ここまで6得点6アシストのMFギマランイス、アラン・シアラーが2003-04シーズンに挙げた22得点以来のシーズン20ゴールを記録したイサクの存在が不可欠であることは間違いありません。 文/西岡 明彦 ※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)第293号、5月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部