米軍普天間飛行場の移設問題で注目 辺野古埋め立て承認を検証する「第三者委員会」とは?
公約を破った埋め立て承認の波紋は尾を引き、14年11月の県知事選では、「辺野古移設阻止」を掲げた前那覇市長の翁長雄志氏が仲井真氏に約10万票差を付けて圧勝した。 その翁長氏が当選後にすぐさま表明したのは、仲井真前知事の埋め立て承認の妥当性を検証する第三者委員会の設置だ。埋め立て承認を取り消せば、辺野古移設は阻止できる可能性は高い。 「承認に至った過程に法的瑕疵があれば取り消せる」。翁長知事は繰り返し強調する。背景には、政府からの埋め立て申請を承認する際に基づいた公有水面埋立法で「環境保全に十分配慮されていること」が承認の基準として定められていることがある。 県は防衛省の埋め立て申請に対し13年11月に「生活や自然環境保全への懸念を払拭できない」との意見を付けた。それにもかかわらず、仲井真前知事は申請を承認。環境保全が十分でないにもかかわらず承認した経緯に「法的瑕疵」があるのではないか。県民の疑問は膨らんでいる。
ことし2月26日に開催された辺野古埋め立て承認を検証する県の第三者委員会でも、仲井真知事の承認に至る経緯に対する疑問が相次いだ。会合後、大城浩委員長は会見で「環境保全に懸念が残る」としながら承認した前知事の判断を「重要な論点だ」と明言した。承認取り消しの前提となる法的瑕疵の有無について、不透明さが指摘された前知事の最終判断に照準を定めたのだ。 第三者委は今後、前知事が承認に至った経緯に焦点を当て、県職員の説明も求めながら承認判断が妥当だったかを検証する構えだ。 一方、承認取り消しについて防衛省幹部は「行政上の手違いや過失がないと不可能だ。法廷で争っても負けることはない」と自身を持っている。県が取り消した場合は損害賠償請求訴訟などを起こすとの見方もある。 翁長知事は7月ごろに取り消すか否かを判断する見通しだが、安倍政権は埋め立て工事に向けた作業を加速させている。第三者委員会での検証で、どのような指摘があがるのか。さらに辺野古移設阻止を公約に掲げた翁長知事が、第三者委員会での検証を受け、どのような判断を下すのかが大きな焦点となる。 清水柚里(琉球新報)