「カメ止め」の再来? 異例ヒットの自主映画『侍タイムスリッパー』と『カメラを止めるな!』に共通する、インディーズ映画「ヒットの法則」
現在上映中の劇場映画「侍タイムスリッパー」が話題だ。単館上映のインディーズ映画だったのが、急速に上映館を拡大し、異例の成功を収めている。 【画像】大ヒット映画の監督が手がけたが…「炎上した話題作」 本作は、第2の「カメラを止めるな!」(2017年に大ヒットしたインディーズ映画。以下、カメ止め)として注目を浴びているが、両作品は、作風や作品の内容についてよりは、ヒットの仕方が似ているという点で比較されている。 ■「カメ止め」の再現を狙った「侍タイムスリッパー」
「カメ止め」の大ヒットは「奇跡」と称賛されたが、関係者、専門家含めて、再現性があるものだと見なされていなかった。 当の上田慎一郎監督自身が、本作公開の約1年後に、Twitter(現X)上に下記のような投稿をしている。 「侍タイムスリッパー」については、安田淳一監督は「カメ止め」をかなり意識して本作を制作をしたようで、安田監督はインタビューで下記のように語っている。 6年前に『カメラを止めるな!』が大ヒットした時、いろんな方が「これは後にも先にも一回きりのこと」と言ってました。僕は「一回できたことは再現性があるのではないか?」と、いろいろ研究して『侍タイムスリッパー』を進めてきました。(「シネマカラーズ」2024年8月29日配信)
「侍タイムスリッパー」は、はたして「カメ止め」の再現と言えるのだろうか? そうだとすれば、他のインディーズ映画も同様の手法で大ヒットさせることができるのだろうか? 筆者の見解としては、「必ずヒットさせられるわけではないが、ヒットの確率や、ヒットの度合いを高めることはできる」というところだ。 では、どうすればよいのか。この点について、詳しく考察してみたい。 ■なぜ「カメ止め」の再現は難しいのか 筆者は、広告会社に19年勤務し、映画のプロモーションにも何度か携わったことがあるのだが、映画作品のマーケティング戦略は、他の商材と比べてかなり特殊である。