皇后さまは純白のドレス 装いに宿る訪問国への敬意と親愛、ロイヤルファッションの歴史
英国を公式訪問している天皇、皇后両陛下は、国賓としての公式行事に臨まれている。25日のパレードや晩餐会では、皇后さまは純白のドレスを着用された。皇室のファッションに詳しい専門家は「色のご選択に英国への敬意を感じる」と語る。かつて英女王エリザベス2世や、皇太子時代のチャールズ国王の配偶者だったダイアナ元妃も、来日の際に、日の丸の赤と白の装いを身にまとっていたことで知られる。訪問国への敬意と親愛を示すロイヤルファッションの歴史を振り返る。 【写真】バッキンガム宮殿に馬車で到着された天皇、皇后両陛下、チャールズ国王夫妻 ■レースのコートドレス 公式行事の会場となるロンドン、バッキンガム宮殿へと続く大通り「ザ・マル」。同じ馬車に乗りこみパレードに臨まれた皇后さまとカミラ王妃のお召し物はともに純白で、親密な印象を与えた。 皇室の歴史とファッションに詳しい青木淳子さんによると、パレードの際の皇后さまのお召し物は「レースのコートドレス」。 「白い帽子にもおそろいのレースが施され、後ろでやや大きめにリボン状になっており、カミラ王妃のお帽子と並んでも、違和感ないボリュームだった」と振り返った。 皇后さまはこの日の晩餐会も白系のドレスを着用された。 青木さんは「イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという英国を構成する4つの国の国旗に共通する『白』を選ばれたのではないか。英国の国の成り立ちや歴史へのご洞察があり、英国への敬意を示されたのではないかと拝察する」と語る。 ■エリザベス2世はパレードで 歴史を振り返ると、英国王室メンバーが来日した際も同様だった。 昭和50(1975)年5月、来日中のエリザベス2世は夫のフィリップ殿下と東京都内でパレードに臨んだ。帝国ホテルから国立劇場までをオープンカーで巡った。 その際のエリザベス2世の装いについて、当時の産経新聞では「赤地に白の変形千鳥格子」と紹介している。 青木さんは当時の映像や画像を見ながら「赤の分量が多い分、帽子やバッグ、パンプス、手袋の白がバランスよく装いを引き締めている」と分析。 「パレードという日本国民に自身の姿を見せる場面で、日本の国旗の配色を選択された。沿道で国民が振る日の丸とユニオンジャックの小旗と、赤と白の女王の装いが親和性を感じさせる光景だった」と語る。