皇后さまは純白のドレス 装いに宿る訪問国への敬意と親愛、ロイヤルファッションの歴史
■ダイアナ元妃は赤い水玉ワンピース
さらに強く、日本への親愛の情を印象づけたのは、61(1986)年、当時のチャールズ皇太子とともに来日したダイアナ元妃のファッションだ。
チャールズ皇太子とダイアナ元妃は、来日2日目、浩宮時代の天皇陛下のご案内で、京都の修学院離宮を見学した。
《ダイアナ妃は日章旗をイメージさせる白地に赤の水玉模様のワンピース》
ダイアナ元妃の様子を当時の産経新聞は《鮮やかな水玉ワンピース》の見出しを付けて活写した。
このワンピースはロンドンで妃自身が見つけた既製服だったといわれている。
「一見カジュアルに見えがちだが、アクセサリーなど小物のコーディネートで上品にまとまっている」と青木さん。
「来日を控え、白地に赤模様のドレスに、ダイアナ妃はピンとひらめかれたのでしょう。柔軟な遊び心と親日感情がこの装いからも伝わる」と話す。
■上皇后さまもきめ細やかなご配慮
皇室の外国訪問時の装いはこれまでも話題になった。平成時代には、上皇后さまがエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国を訪問した際、各国の国旗の配色を、服装やアクセサリーに取り入れられていた。
5月にギリシャを訪問された秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまの青と白のコーディネートも、ギリシャ国旗の配色と重なり、注目が集まった。
青木さんは「日本の女性皇族方もまた相手国への敬意を装いで表現なさってきた。ファッションは、言葉を介さなくても、自分の思いを表現でき、また相手の思いをそこからくみ取れる『ノンバーバルコミュニケーション』の一つのツールでもある」と話している。(篠原那美)