激戦地の故郷にささげる銀 ウクライナ女子レスリング
【パリ共同】パリ五輪のレスリング女子62キロ級決勝で10日、元木咲良に敗れたウクライナのイリーナ・コリアデンコ(25)は、ロシアのウクライナ侵攻初期に激戦地となった首都キーウ(キエフ)近郊イルピン市で育った。試合後「愛するイルピンと人々にこのメダルをささげる」と語った。 侵攻が始まった2022年2月24日はイルピンの自宅にいた。首都侵攻を狙うロシア軍は間もなく、イルピンを支配下に置いた。コリアデンコは市外に避難することができず、ロシア軍が撤収した同年3月下旬まで自宅にとどまった。「多くの命が奪われ、住まいが破壊された」と振り返った。 約3週間のロシア占領下で、市民ら少なくとも260人が殺害され、運動施設も破壊された。市では復興作業が進められているが道半ばだ。 故郷の復興と平和を願い迎えた大舞台。市内の広場でパブリックビューイング(PV)が実施されたという。コリアデンコは「金メダルではなかったが、この結果がイルピンの人々を元気づけたと信じたい」と話した。