「働いてもお金が増えない」一方、富裕層の数は過去最多…「自助努力」で進む資産形成の道
コロナ禍、実生活と景況は大きく二分され、日本、そして世界全体の格差が浮き彫りになった。総務省『家計調査 1世帯当たり1ヵ月間の収入と支出(総世帯)』などとともに現状を追っていこう。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
資産家こそ現金を持たない
フォーブスの発表によると、2023年版世界長者番付の1位はベルナール・アルノー「2110億ドル(約27兆8500億円)」、2位イーロン・マスク「1800億ドル(約23兆7600億円)」、3位ジェフ・ベゾス「1140億ドル(約15兆500億円)」。皆、円換算で「兆」を優に超える資産家だ。 株価下落、金利上昇による煽りを受け2023年の億万長者は前年より28人減る結果となった。また長者番付に掲載された日本人の数は前年より1人減少した。 日本国内での1位はファーストリテイリングの会長兼社長・柳井正氏「326億ドル(約4兆3000億円)」で、世界では39位となった。 この異様ともいえる歪みは日本でも同様に見られ、2021年、富裕層・超富裕層の世帯数は2005年以降で最多となった(野村総合研究所調べ)。資産5億円以上の「超富裕層」の数はおよそ9.0万世帯。合わせて105兆円を保有しているという。 考えるだけで途方もない数字だが、富裕層たちはこっそりほかの資産を抱えているだろうし、(税逃れのための)隠れ資産を持つ「名無しの富豪」は、至るところに潜んでいる。 資産と一言で片づけているが、その種類は実に様々だ。そして、俗にいう「お金持ち」ほど、現金を持たない傾向がある。株、債券、不動産、金(ゴールド)、美術品……富裕層が現金所持を避けるのは、「貯蓄のリスク」を理解しているからだ。
投資意欲はあるものの…まだまだ根強い現金至上主義
現金志向根強い日本社会。カードやスマホ決済は広く浸透しつつあるが、「現金を一切持たない」という人は極めて少数であることは間違いない。 何より貯金。老後資金2,000万円問題を皮切りに、また現政権は投資を非常に重視していることもあり日本国内で投資意欲は徐々に高まってはいるものの、「銀行預金のみ」である人はいまだ多い。それこそ昭和期、銀行の利率は6%にも及んでおり、「入れときゃ勝手に増えていく」が一定の理解として浸透していた。しかし現在は0.01%といった利率も珍しくなく、ただ現金を預けておくだけの倉庫になっている。 「でも貯めている以上減ることはないし……」と考えた場合。ウォーレン・バフェットの「インフレーションこそがもっとも重い税金である」という有名な言葉を思い出してほしい。 たとえコツコツ貯金をしたとしても、物価が上昇していれば、現金の価値は下がっていく、つまり、相対的に資産は減っていくのだ。実際に現在の急激なインフレに対して各国が対応に追われている。