西田凌佑が自身2度目のKOで初防衛 試合前のアクシデント乗り越え
プロボクシングの世界ボクシング連盟(IBF)バンタム級タイトル戦12回戦は15日、大阪・HOS住吉スポーツセンターであり、王者の西田凌佑(28)=六島=が、同級14位の挑戦者アヌチャイ・ドンスア(28)=タイ=に7回KO勝ちし、初防衛を果たした。 【写真】五輪をめざした妻と反対されてもプロボクサーになった夫 西田凌佑と沙捺さん、描く同じ夢 西田は序盤から的確にパンチを当て、5回にダウンを奪った。7回はカウンター気味の左ボディーで決着をつけた。 これで西田の戦績は10戦10勝(2KO)となった。 ■思わぬ落とし穴を克服も、王者を襲う焦燥感 相手の出ばなをくじく重い右のジャブと、正確な左ボディー。着実にダメージを与え続けた西田がプロで2度目のKO勝利で初防衛した。 5回はタイミング良く右フックをひっかけ、ダウンを奪う。7回は相手が入ってきたところに左ボディーをたたき込み、試合を決めた。「王者で年を越せるのはうれしい」。言葉とは裏腹に、笑顔はなかった。 身長170センチと、この階級では大柄で平常時の体重は約65キロ。減量は10キロを超え、これまでは試合直前は満足に練習できなかった。今回は日頃から摂取カロリーを抑制。減量も早めに始め、順調に体重を減らしたが、別の落とし穴があった。 スパーリング中に右の脇腹を負傷。試合までの約3週間、実戦練習ができなかったという。西田は距離を取って相手に有効打を打たせない技術に定評がある。だが、この日の試合後は顔が赤くなり「試合中に距離を測っている感じだった。これだけ(パンチを)もらい、内容はプロで一番よくなかった」。 今、主要4団体のバンタム級王座は日本勢が占めている。来年は王者同士の統一戦が実現する可能性がある。一方で、キックボクシングから転向した那須川天心ら、王座を虎視眈々(こしたんたん)と狙う世界ランカーもいて、追われる立場でもある。 「盛り上がっている階級だし、ここで戦いたい。でも今のままでは、他の王者に倒されてしまう」。28歳の胸中は、喜びよりも焦燥感が勝っていた。(松沢憲司)
朝日新聞社