金融・資産運用特区がスタート:成長戦略との連携も重要
GX金融・資産運用特区
中でも興味深いのは、北海道・札幌市の取り組みである。「北海道の日本随一の再生可能エネルギーのポテンシャルと都市と自然が調和した札幌の魅力を活かし、GXに関する資金・人材・情報が集積する、アジア・世界の金融センターを実現していく」としている。そのうえで、金融機能の強化を通じて、「日本の再生可能エネルギーの供給基地」として、GX産業のサプライチェーンの構築や雇用創出を実現していく。 GX関連事業については、政府も銀行によるGX関連事業(GXコンサルティングなど)に対する地域限定の出資規制の緩和を検討している。これは、銀行が、行政や企業等と連携して域内のGX関連事業をより円滑に推進できるようにするため、銀行法における「一定の銀行業高度化等会社」(認可ではなく届出により5%超50%以下の議決権保有(出資)が可能)の枠組みの活用について、国家戦略特区における具体的な措置の在り方を検討して、「2024年中をめどに所要の措置を講ずる」としている。 また政府は、水素の社会実装に向けた圧縮水素の貯蔵上限の緩和、高度人材ポイント制度を活用した海外人材の受け入れ促進を通じて、GXあるいはスタートアップなど成長産業の支援を進める方針だ。
政府と自治体の取り組み
このような成長産業支援以外に、金融・資産運用特区プログラムの一環として政府は、資産運用業のミドル・バックオフィス業務の外部委託促進、銀行グループの投資専門子会社によるスタートアップ出資規制の緩和を全国ベースで行う。 また、特区での地域限定措置としては、資産運用業の登録手続き、開業手続きでの英語対応、スタートアップへ投資する外国人投資家向け在留施策の創設、外国人銀行口座の開設支援、プロ向けのベンチャーファンドへの出資可能な投資家に関する規制の緩和、を実施する。 他方、特区となる地方自治体は、自治体の行政手続きの英語対応を拡充させることや、地方税の減免、創業・拠点設立に係る補助金など、国内外の金融・資産運用業者等に対する税財政面での支援を行う。