村井理子さんが義両親の介護で出会った「高齢者を騙す人々」。逆ギレされたことも
介護に大切なのは、ほどよい「距離感」
――村井さんのお話を伺っていると、介護には「距離感」を持つことが大切なんですね。 村井:私はすごくあっさりしてます。面倒は見るけど、すぐ帰る。「お義父さん、こんにちは。…はい、バイバイ」って(笑)。でも、やることはちゃんとやります。その代わり、あっさり。それでも義父が追いかけてくるからフルスピードで帰ってきます。振りきって帰ってくる。 2年前のおもちとか、小豆の缶づめとか、家にあるなにかを持って帰れって言うんですよ。けれど、一度も受け取ったことはない。もう本当にビシッと線は引いています。あんまり向こうのペースに巻き込まれないようにしてます。 ――無理をせず、自分を大切にした方がよさそうですね。 村井:やっぱり自分が損するのってイヤじゃないですか。だから、自分のプラスになるようにちゃんと考えます。帰りにどこかに寄ろうとか。 ――たしかにそういう出来事があると自分のなかでも納得がいきますよね。最後に、今、介護でちょっと疲れていたり、これから介護が始まるかもと不安に感じている方に、メッセージをいただけますでしょうか? 村井:まあ、無理せず、ですね。できる範囲のことをして、できないと思ったことは、もうあっさり諦めるでいいんじゃないかな、って思います。 私の介護は義両親に対してのものなので、じつはそこまでメンタル的に辛くはありません。でも、自分の両親だと、まったく世界が違うとは思います。実親の老いを間近で見ることの辛さや切なさは、メンタルにくるかもしれません。夫を見ているとそう感じますね。逃げるときは逃げる。でも帰ってくる。そんな風でいいのかな、と思います。
ESSEonline編集部