【一問一答】新ロシア大使を直撃!
ことし5月に就任したニコライ・ノズドリェフ駐日ロシア大使。これまで記者会見も開かれず、メディアの取材には一切答えてこなかった“謎に包まれた”大使が今回、日本テレビの単独取材に応じた。ウクライナ侵攻、「もしトラ」、日露外交、北方領土、中国・北朝鮮・グローバルサウスとの協力…初めて明らかにされるロシアの思惑とは? 【単独インタビュー】ロシア大使、小児病院攻撃について“反論” 日本と「対話の可能性ない」「敵対的な態度の撤去を」と主張
■「日露関係の基盤は破壊」…留学経験もある“知日派”大使が見た変化
──国際基督教大学に留学していたノズドリェフ大使。改めて来日して、現在の日本についてどう感じるか? 日本は大きく変わった。東京も空に向かってのびていく姿を楽しく見ている。日本に来る度に、いつも新しいものに出会っている感じがする。同時に、伝統そのものをきちんと守っているという側面があると思う。前に何回も訪れたところの姿はまったく変わらず美しく、それを眺めていくということ自体は本当にうれしく思っている。また、特に重要なことで変わらないのは、日本の人々だと思う。優しさ、そして本当に驚くほどの勤勉さは、まさに日本の方々の大きな特徴と言える。 ──大使として、やりたいことは? 大使の仕事で一番大きな課題は、二国間関係を発展させ、新しい協力分野を探るということだと思うが、残念なことにここ数年、大きく変わった。数年前まではロシアと日本は本当に幅広い分野において関係を築き協力できていたと思うが、残念なことにそのしっかりした基盤は今はもうほとんど破壊されていると思う。 岸田政権は「同盟の連携」という口実をあげて、両国の国益に合致した協力を取り消すということだけではなくて、ロシアに対しては、「戦略的敗北」という方針を正式に宣言し、それを実施してきた。私の仕事で一番大きな課題は、あくまで二国間関係を安定させ、限られた分野であっても協力を保全し、何らかの形で発展していきたい。
■キーウの小児病院攻撃は迎撃ミサイルの“誤った操縦”と否定
──二国間関係に影を落とすのがウクライナ侵攻。8日にロシア軍がキーウを攻撃し、小児病院などで大きな被害が出たが、民間人が犠牲になる現状についてどう考えるか? 破壊をしたのはノルウェー製のNASAMSという対空防衛システムのミサイルだった。つまりロシアのミサイルを迎撃しようとして最終的に誤った操縦があったかもしれない。 ──停戦の条件とは? ロシアが望んでいるのは停戦ではなくて最終的な合意、つまり戦争をきちんと終結させるということだと思う。まず、今のドネツク・ルガンスク(ルハンシク)、ザポロジエ(ザポリージャ)、ヘルソンの行政区域からのウクライナ軍の完全撤退。もう一つは、NATO加盟を正式に諦めること。歩み寄る余地は今のところ見当たらない。 ──それではウクライナに事実上の降伏を求めることになるが? 実際の降伏とは全く違う。国そのものを保全させるという利益は極めて大きいと思う。特にこの1年をみると、ウクライナ軍は極めて数多くの犠牲者を出して、逆に今は戦場で不利になっているので、おそらくあと1年から1年半ほどたてば、最終的に決断をするのではないかと思う。戦い続ければ、国そのものが極めて弱くなると思う。