「誰も負けたくてあの場に立ってない」選手はSNS投稿に思い…3連敗の日本代表HC「責任を持って検証」
8月8日、パリ2024オリンピックに出場した女子バスケットボール日本代表(FIBAランキング9位)が帰国。恩塚亨ヘッドコーチと、キャプテンを務めた林咲希、宮崎早織が記者会見に出席した。 【動画】日本代表が帰国…ファンの声に笑顔で応じる選手も 前回の2021年東京大会で銀メダルに輝いた日本代表は、金メダル獲得を目標に掲げて今大会に臨んだが、予選グループリーグ3連敗で敗退。「走り勝つシューター軍団」をチームコンセプトとして、五輪7連覇中のアメリカ代表(同1位)、五輪初出場ながらWNBA選手を主軸に据えて勢いに乗るドイツ代表(同19位)、ヨーロッパ王者のベルギー代表(同6位)といった難敵に挑んだものの、勝利という結果を手にすることなく弾き返される格好となった。 恩塚HCは会見冒頭、応援していたファンやスポンサーなど関係者への感謝とともに、何よりも「世界一になろうと全身全霊をかけて挑んでくれた選手たちの頑張りは世界一に値するもの」と、ともに戦った選手たちを労う言葉を述べ、あらためて「選手たちの頑張りを勝利に繋げられなかったことを申し訳なく、悔しく思っています」と、不本意な結果を噛みしめるように言葉を続けた。 恩塚体制でキャプテンを務めてきた林は、「東京五輪から3年。切磋琢磨してきて五輪の舞台で勝つことができなかったのは悔しいというか…言葉に表せない」と言葉に詰まり、涙を浮かべる場面も。また、宮崎は「色んな意見がSNSを通して目に入ってきた」と明かし、「誰も負けたくてあの場には立っていないですし、メンバー、スタッフが一緒になって戦えたんじゃないかなと思っています。私個人としては楽しかったオリンピックでしたし、自分の成長を感じられたオリンピックだった」と、夢舞台に立った張本人だからこそ感じたポジティブな要素も強調した。 とはいえ、選手も含めチーム全体で日本代表の“敗因”から目を背けているわけではない。恩塚HCは、今大会の3試合を「アスレチック能力の戦いになった」と表現し、「OQT(2月に行われたオリンピック世界最終予選)より強度は増していたと思う。身体能力の高い選手がゲームに与えるインパクトが多くなっていて、ファウルに対する判定も許容される幅が大きくなってきている。フィジカルな中で戦い抜ける“強さと賢さ”はカギになると思う。その水準まで選手の力を引き出せなかったのも同時に反省し考えているところ」と話した。 この“差”については、林と宮崎も認めている。林は「五輪にかけている思い、気迫、タフさは、今まで味わったことないくらいにタフな試合が続いていた。メンタルもフィジカルも、もっと必要だと感じた」と率直な印象を口にしており、宮崎は「身長とパワー、そこをいきなり伸ばせというのは無理。5人全員で戦うバスケットが相手からしたら嫌だったんじゃないか」と、世界的に見て小柄なチームでも依然としてやれることはあるとの見解を示した。 この3年間の挑戦が結実しなかった理由や敗因などについて、恩塚HCは「検証はこれから責任を持って、(私の)去就にかかわらず日本バスケットの財産になるように出したい」と、向き合い続けることを約束。最後まで、ともに戦った選手への感謝と労う言葉を続け、女子バスケを報道するメディアへの感謝も口にし会場を後にした。
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