「松本人志の“イジリ芸”ではもはや誰も笑わない」 芸能界復帰が難しい理由と、復帰する場合の“シナリオ”とは
世界的にヒット
その上で、まずはコンプライアンスが厳しい地上波ではなく、動画配信サービスなどでの復帰が現実的だ。吉本に聞くと、「公表済みのコメント以外の情報発信を行う予定は、記者会見を含めてありません」。 元テレビ東京プロデューサーで桜美林大学芸術文化学群教授の田淵俊彦氏は、 「先月、吉本の岡本昭彦社長(57)がフランスのカンヌに赴き、松本さんが企画を手がけるお笑いバラエティー番組『ドキュメンタル』について講演しました。今回の訴訟取り下げを見越していたかのようなタイミングです」 アマゾンプライムビデオで配信されている同番組は、海外制作のローカル版が好調だ。松本が作った番組のフォーマットが世界の25以上の国と地域に輸出され、各地でヒットを記録している。 「吉本は松本さんをアマゾンプライムで復帰させ、世界的評価を得ていることを日本国内に周知させようとしているのではないでしょうか。そして、世論が“やっぱり彼の才能はすごい”となってから、地上波への復帰を試みるつもりなのかもしれません」(同)
「もう”イジリ芸”も笑えない」
仮に地上波に復帰したとして、今後、一連の文春報道の影響はあるのか。演芸評論家の吉川潮氏に聞くと、 「ダウンタウンの芸は、他の出演者につっこんだり茶々を入れたりする“イジリ芸”です。自分たちが常に場の中心にいて、周りを容赦なく斬っていく。トークショー形式で不特定多数の相手をさかなにするのです。松本さんは、そんな現在のバラエティー番組のひな型ともいえるスタイルを作り上げた、先駆者でした」 しかし、 「後輩に女性を集めさせて、品のない遊びをしていたことがバレたのは痛過ぎます。手下を従えて尊大に振る舞っていたこれまでの言動が、テレビの中の“芸”ではなく、ありのままの“素”だったと気付かれてしまったからです。もはや彼の“イジリ芸”は文春の記事を想起させる、笑えないものになってしまったと思います」(同) やはり、芸人としては計り知れないダメージを受けたということらしい。 「週刊新潮」2024年11月21日号 掲載
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