「このまま時間が止まってほしい」 国民を熱狂に誘ったイングランド代表の躍動
夜更けに歌が聞こえてきた、「俺を家に帰らせないで」と。
コロンビアとのラウンド・オブ16では鬼門のPK戦を制して勝ち上がる。決勝には辿り着けなかったが、国民との繋がりを取り戻した。(C)Getty Images
ロシア・ワールドカップのイングランド代表が、どれだけ国民を熱狂させたか。現地で取材中のケイ記者は、惨めな敗北が続いた歴史に終止符を打ち、久しぶりに味わえた感情をこう言葉にしている。このまま時間が止まってほしいと。(文:オリバー・ケイ・訳:井川洋一 2018年7月19日発売ワールドサッカーダイジェスト『ザ・ジャーナリスティック イングランド』を転載) ―――◆―――◆――― その時、モスクワは早朝の5時を回っていた。スパルタク・アレーナでの長い夜を終え、疲れ切った私はようやくベッドに入ろうとしていた。イングランドが冷や冷やするようなPK戦の末にコロンビアを下し、私は非常にタイトな締め切りのマッチレポートを書き終え、記者仲間とささやかな祝杯をあげた後、ホテルの部屋に戻ってきた。 眠れそうにはなかった。試合中ずっと興奮していて、アドレナリンが身体中を駆け巡っていたからだ
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