『源氏物語』や平安時代を身近にしてくれた吉高由里子さん。ありがとう。そしてお疲れ様の記【光る君へ 満喫リポート】吉高さんお疲れ様でした編
編集者A(以下A):『光る君へ』に主演された吉高由里子さんは、毎週SNSで「あなたの1時間を私にください」と呼び掛けていました。不肖わたくしは毎週その発信を確認してから満を持して視聴するのを常としていました。およそ1年半わたって『光る君へ』の撮影に取り組んできた吉高さんは、まさに命を削って作品に取り組まれたのだと思います。一方の私たち視聴者も48回にわたってまさに命を共有し、楽しみに視聴してきたともいえるわけです。いま、1年間を振り返って、この作品を欠かさず見てきて良かったという気持ちになっていますし、もう次週から「あなたの1時間をわたしにください」というメッセージが読めないのかと思うと寂しかったりしますが……。 写真はこちらから→『源氏物語』や平安時代を身近にしてくれた吉高由里子さん。ありがとう。そしてお疲れ様の記【光る君へ 満喫リポート】吉高さんお疲れ様でした編 ライターI(以下I):平安貴族の世界を鮮やかに浮き彫りにした名作ドラマもいよいよ最終回を迎えようとしています。そうした中で、まひろ/藤式部役の吉高由里子さんの取材会が開かれました。当欄では、道長(演・柄本佑)とまひろの関係について言及した箇所を中心に紹介したいと思います。まずは道長について吉高さんがお話ししてくれています。 <(道長とは)月を見る描写が多かったけれど、ふたりはいつも一緒の月を見ているんですよね。いつも心は一緒にいる、月がない日はない、心が一緒にいない日はないんです。一心同体。道長の存在はまひろにとって生きる糧だと思うんです。第42回「川辺の誓い」での、ふたりの会話や距離感からも感じて頂けたと思うんですが、恋愛でも友情でもないふたりの世界がいよいよ最終形態になってきたという感じです。ソウルメイトの感じが出ていてとても良い回だと思いました。> A:第42回は、ふたりの原点というか、出会った川辺でのシーンにじんときました。道長は長い間こらえていたものを、為政者として孤独でつらかった思いを、まひろの前だけで涙して見せました。セリフにはなくても、ふたりがソウルメイトであることを再確認する名場面でした。それが、第45回「はばたき」では、まひろはその道長に「もう終わりです」と告げます。これについて、吉高さんはどのように解釈されたのかもお話しされました。 <第45回の場面ですが、まひろにとっては決意の別れなんですよね。手に入らない相手といる意味がないという苦しみ。決して(嫡妻倫子に)勝つことができないわけじゃないですか。自分がここにいる意味はなんだろうと、自分の行動全てがむなしくなっていたと思います。私が私でない場所に行って、開放されたかったのかもしれないですね。もしくは、道長から自分を必要としているという言葉を聞きたかったのかもしれないし。とにかく、苦しかった。側にいるのがつらかったんだと思います。それから、やれることは全てやった、やり切ったという思いもあったと思います。> I:一口でこういう感情です、って語れるものでもないですよね。まひろに成り切ったからこそ、そういう複雑な心境を感じられたんでしょう。第45回でそのソウルメイトの道長が剃髪しましたが、その剃髪シーンを、吉高さんはセットに残って見守っていたそうです。 <自分の撮影は終わっていたけど、道長が髪を剃っているシーンは、セットに残って見守ったので、柄本さんの剃髪姿は実はサプライズじゃなかったんですよ。柄本さんが2年間のばしていた髪なんですよね。全部地毛で演じてたから、気持ちが入っていたと思うんです。その大事にしていたものを切り落とすというから、私も見守りたかったんです。剃髪した姿を見て抱いた感想は……頭の形が綺麗、ということ(笑)。自分の思いを切り落とされるような感覚になるのかな。どういう感情なんだろう。わからない感情がこみあげてきました。その瞬間を見守って、共有できて良かったなと思っています。> A;なんだか、こういう話がジーンとくるのですよね。幼いまひろが出会った当時は三郎と呼ばれた少年。あれから数十年の時を経て、純度が最高値まで高まったように感じられました。 <まひろとしては、道長が出家したとは聞いていたけれど、再会した時に目の当たりにしてショックはあったと思います。弱っている道長も、剃髪姿も。矛先のわからないショックというんですかね。当時の出家は死ぬことと同然だったというし。自分も出家するという気持ちもあったと思います。とうとうか、という気持ちも。びっくりはしたけど、苦しんで弱っている道長の姿をこれ以上見なくてもいい、という意味でほっとした面もあるかもしれないです。すごく遠くから、やすらぎがこちらを見ているような、そんな感じもありました。>