賃上げの道筋説明を 山田久・日本総合研究所客員研究員【24衆院選】
山田久・日本総合研究所客員研究員の話 賃上げの方向性に反対する人は誰もいないだろう。 ただ、足元の現金給与総額(名目賃金)の上昇率は前年同月比で3%程度だ。最低賃金を今後5年程度で時給1500円に引き上げるとすれば毎年7%程度の上昇が必要で、かなり速いペースだ。各党には賃上げの道筋を説明してもらいたい。 賃金は経済情勢が良くなってから上がる。最低賃金だけを引き上げようとすると、付いてこられない企業が増えて、企業倒産などの副作用が出る。経済政策全体(との整合性)の中で最低賃金の引き上げを位置付けることが必要だ。韓国では急激な引き上げで、疲弊する企業も増えた。インフレ率や全体の平均賃金の見通しといった納得できる材料を示してほしい。 中小企業を中心とした今の賃上げは、物価高や人手不足などが理由だ。政府は賃上げ促進策として、助成金や税控除を進めてきたが、政府補助の金額を積み増すだけでは賃上げにつながらないだろう。中小企業が価格転嫁しやすい環境整備は有力な政策だ。ただ、下請法などで全ての企業を取り締まるのは難しいため、全体に浸透させるためのアイデアを提示すべきだ。