11月の食品値上げ282品目 11カ月ぶりに前年上回る 2025年の値上げ予定、1000品目を突破 24年を上回るペース
今後の見通し:2025年の値上げ予定、1000品目を突破 粘着質な値上げ続く見通し
2024年における飲食料品の値上げは、2023年に引き続き「原材料高」の影響を受けた。また、食品フィルムやトレー、段ボールといった包装資材、ドライバーの働き方改革に伴う物流費の上昇といった影響が強まったほか、円安による輸入インフレも加わった。他方で、PBなど安価な代替製品への需要シフトや、値上げ後に購入点数が減少するといった動きが定着したことから販売価格の引き上げに消極的な姿勢も一部でみられた。総じて、値上げを含めた価格設定の判断が非常に難しい1年だったことも、前年に比べて値上げの勢いが弱まった要因となった。 足元では、コメ不足に伴うパック米飯の一斉値上げなど特徴的な傾向もみられるものの、2024年通年の値上げは前年実績比で4割程度の1万3000品目以下で着地するとみられる。 2025年の値上げでは、24年のトレンドを引き継いで、モノ由来の値上げが当面主流になると想定される。10月31日までに判明した25年の値上げ予定は既に1000品目を超えており、前年同時期時点で判明した、24年に実施予定の値上げ品目を上回った。 2025年の値上げ要因では、円安などの要因に低下傾向がみられる一方、物流費や包装資材費などの要因が24年を大きく上回る水準で推移している。原材料価格でも、薄力粉系を中心とした小麦粉が製粉各社で25年以降に値上げとなり、パンや洋菓子、加工食品を中心に広く影響が及ぶ可能性がある。賃上げなどに起因する人件費由来の値上げ割合は、判明する1-4月分で24年通年を大幅に上回っており、最低賃金の大幅引き上げなどでさらに高まる可能性がある。 値下げや価格据え置きを維持可能な好材料には乏しく、2025年は粘着質な値上げの継続が見込まれ、品目数は24年を上回って推移する可能性が出ている。