「大統領選ディープフェイク」に「有名人の偽広告」…ネット上に出回るフェイク情報の法規制に賛成?反対? AIエンジニア安野貴博さんと考える【news23】
TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏: 村上総務大臣に聞いてみても、現行法で対応できる部分がかなりあるようです。つまり威力業務妨害や、脅迫などに対して警察が取り締まることは可能なのですが、問題はスピードです。 誹謗中傷がなかなか止まらないと、どんどん広がっていって被害がさらに広がるので、どのようにガードしていくか。今はそのシステムがまだ欠けているので、どう構築していくかがこれからの課題だと思います。 ■拡散前の偽情報を事前に警告「プリバンキング」とは? 藤森キャスター: 偽情報の対策として、ファクトチェックだけでなく偽情報が出回る前に予防する「プリバンキング」というものがあります。偽情報が出回る前に、拡散が予想される偽情報を事前に警告するというものです。 2022年、台湾の元デジタル担当大臣のオードリー・タン氏は「ディープフェイクの危険性」について、動画を投稿していました。 オードリー・タン氏が投稿した動画 「待って!本当に本物のオードリー・タン?もう一回観てみよう。この人、本当に“あの”オードリー・タン? この動画を観ている人は簡単に『ディープフェイク』だと見抜けたかもしれません。じゃあ、あなたの友達や家族も『絶対に見抜ける』と言い切れますか?もし詳しく知らないモノがディープフェイクになっていたら?本当に見抜けますか? 画像や音声が簡単に改変できる今、何を信じるべきでしょうか?」 藤森キャスター: 動画はオードリー・タン氏自身が作ったディープフェイクです。「プリバンキング」は有効なのでしょうか。 AIエンジニア 安野さん: 一つの手段として有効だと思います。研究を見てみると、偽情報を信じてしまった後に訂正するのはなかなか難しい。一方で、「こういう技術があり、こう使われるかもしれない」とか、選挙のときなどに、「二つの陣営を分断するような言説がまかれる可能性がある」などの警告をしておくと、それに対する警戒心が一定上がり、信じる前に対処することができます。 いろいろな手段を組み合わせながらやっていくのが一番だと思いますが、「プリバンキング」も取り入れるべき主要な戦略の一つかなと思います。