財務省と自民税調の〝悪だくみ〟減税圧縮・穴埋め増税 野党分断で予算修正阻止 足並み乱れた間隙狙い…特定野党に便宜も
森山氏の発言から予想されることは、例えば来年は半分引き上げ、残りは再来年にするといった方法だ。これなら3党幹事長合意の範囲内だ。ガソリン税減税についても、段階的に廃止していくことがあり得る。
その一方、他の税目で増税をもくろんでいる。防衛増税では、来年度税制改正で順次行うことが政府内では決まっている。社会保険料増についても、来年度法改正で来年に行うことは厚労省内の既定路線だ。
ただし、これらの増税は、各種税法や社会保険法改正が必要であり、改正案は来年1月から開かれる通常国会に提出されるはずだ。衆院で野党多数の現状なら、それらを否決することができる。
問題はここからだ。そうした税法や社会保険法の改正は、予算関連法案であるので予算の修正が伴う。予算の修正の際、野党各党はできるだけ自分の政党の政策を実現させようとする。来年夏には参院選があるので、各党が差別化しようと足並みは乱れるだろう。とりわけ衆院選で国民民主党だけが脚光を浴びたので、他の野党は苦々しく思っている。
実はそこが財務省の狙い目だ。各野党の間隙を縫って予算修正させずに予算成立を図ったり、特定の野党に便宜を図り、予算修正を最小限にとどめ、各種増税を行ったりするだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)