私の2025年の目標は「生産性を下げる」こと。楽しい仕事は質を上げる
仕事時間が長くても質は上がらない
2019年のこと。 35歳を迎えた私は、仕事でもプライベートでも「生産性のための生産性」を追求することは、必ずしも自分の最優先事項ではないということを悟りました。 そのころ、ものすごく有害だった仕事を辞めた私は、自分と向き合って、その経験から自分が何を学んだのかについて考えてみました。 そして気づいたのは、誰よりも先に出社して、誰よりもあとに退社したからといって、必ずしも仕事の質は上がらなかったということです。 しかも、そんなことをしたからといって、上層部が私を気に入ってくれたわけでもありません。 そんな保証はどこにもないのです。 次に私が選んだ会社は、トップの方針としてワークライフバランスを優先するところでした。 従業員が取ってもいい有給休暇の日数に、制限はありませんでした。 勤務時間が終わったあとにやってきた仕事の連絡に、返事をしなければというプレッシャーを感じたこともありません。 コミュニケーションがしっかりとれていれば、柔軟なスケジュールで働くことも認められていました。 この新しい環境は、スピードを落とし、量より質で物事を評価することは、多くの場合、仕事の質を上げるということを思い出させてくれました。 このことは、本当は誰もがわかってはいるのですが、アメリカの企業文化という弱肉強食の世界に身を置いていると忘れてしまうのです。 少なくとも私の場合、こうしたワークスタイルで仕事が格段に楽しくなりました。 毎年、少しずつ生産性をさげていく試みに取りかかったのは、そのころです。
生産性を下げたら仕事のパフォーマンスが上がった
最初は簡単なこと、たとえばToDoリストの項目の数を制限する、1年の目標の数を制限する、仕事とプライベートの線引きをしっかりする、といったことからはじめました。 最初の年に誓ったのは、終業時刻の午後5時になったら、ぴたっと仕事の手を止めることなどです。 こなした仕事の量ではなく、結果で生産性を測るようにした結果、私はすぐに、自分の仕事がより正確に、より洞察に富んだものになることに気づきました。 たとえばブログを書く仕事でも、読者の心に響き、それがコンサルタントの申し込みにつながる記事を1本書くほうが、読み飛ばされるだけの記事を週に5本投稿するよりも、はるかに価値があります。 また、仕事を楽しめるようにもなりました。仕事が楽しいと、それだけパフォーマンスも向上するからです。 翌年、私はToDoリストの項目と年間目標の数を、さらに減らしました。 また、勤務時間中に何度か「何もしない」ための休憩を取ることにしました。別におかしなことではありません。 ミーティングのない10~15分ぐらいのスキマ時間なら、スケジュールのあちこちにあります。 それに、私はリモートで働いているので、難しいことではありません。休憩といっても、散歩に行くわけでも、本を読むわけでもありません。 たいていはパティオの椅子に座り、音楽を聴いたり、考えごとをしたり、ぼうっとしたりしています。 この2024年を満足な気持ちで振り返れるかは、よくわかりません。2024年はいろいろな意味で、自分を試される年でした。 ですが仕事の面では、これまでの人生でいちばんと言っていいほど、大きな成果をあげられた1年でした。 可能性に満ちた新しい仕事をはじめることになりましたし、フリーランス・ライターの仕事も順調です。