プライベートエクイティーが出口戦略探し、3.2兆ドルの解放目指す
(ブルームバーグ): 新規株式公開(IPO)市場が2年ぶりに息を吹き返し、プライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンド投資に見返りを待ち焦がれてきた投資家はやっと報われ始めた。
しかし、復活のスピードはまだ十分ではない。舞台裏では、膨れ上がったポートフォリオを抱えるPEファンドや、企業の株式公開を支援することで数百万ドルを稼ぐ銀行や取引所が、IPO以外の出口戦略を考え出そうと奔走している。
株式を相対で売却することや、半官半民の取引所を新設して企業を誘う試みがなされている。
IPOパイプラインが真の健全性を取り戻すには来年までかかる可能性があるが、プレキンのデータによると2023年末時点で、買収してから時間がたっても現金化できない非公開企業に過去最高の3兆2000億ドル(約498兆円)の資金が滞留している。
これはPEファンドにとって問題だ。PEファンドは投資家から資金を集めて企業を買収し、売却やIPOによって現金化して投資家に資金を還元するというサイクルに依存している。
IPOの低調に加えて、スタートアップ企業は非公開である期間が長くなっており、これも当該企業の株式を持つファンドや従業員が現金を得る妨げになっている。
IPO市場はここ数週間、回復の兆しを見せているが、金額はまだ10年ぶりの低水準にあり、復活は頓挫する可能性もある。企業がIPOを延期したり取りやめたりするには、株価が数日乱高下したり、米大統領選挙が混乱したりするだけで十分だ。
また、株式非公開であることは、公開に伴う規制当局の監視や投資家への頻繁な情報開示を避けたい企業にとって魅力的だ。
超低金利時代のレバレッジドバイアウトブームとIPOについての企業の慎重姿勢が相まって、証券価格研究センター(CRSP)によれば米国の公開企業数は1997年後半の約7500社をピークにほぼ半減している。
しかしPE投資家は、ある時点で利益を実現化することを望む。