「原子は最小単位じゃない」ってみんな知っているのに…学校で「素粒子」を教わらない「意外な理由」
原子はどうしてくっつく?
ところで、118種類の原子は、どうやってくっつくのでしょうか。それはブロックをピタリとくっつける作業に当たります。これに相当するのが化学反応です。原子や分子は化学反応を起こすことによってお互いにくっついたり、使われている原子を入れ替えたりしながら新しい分子をつくっていきます。 気体の水素は、2個の水素原子がくっついた水素分子(H₂)です。気体の酸素である酸素分子(O₂)も同じように2個の酸素原子がくっついてできています。水素分子2個と酸素分子1個が化学反応を起こすと、原子の組み換えが起きて2個の水分子(H₂O)ができます(「図:水素分子2個と酸素分子1個から水分子2個ができる」)。
たった3種類の粒で世界はできている
古代ギリシャの時代に考えられていたアトムは、これ以上分割することのできない究極の粒でした。ところが、1900年代に実際に発見された原子は、原子核と電子に分けることができました。ラザフォード博士の実験で、原子は真ん中にプラスの電気をもった原子核があり、その周りをマイナスの電気をもった電子が回っていることがわかりました(「図:原子や原子核の内部構造とその大きさ」の左部)。 しかも、原子核は原子の10万分の1くらいの大きさしかなく、そして原子の重さは、ほぼ原子核の重さであることもわかってきました。原子の大きさを東京ドームくらいにすると、原子核はマウンドに置かれたビーズ程度。その周りにある電子は、原子核よりもさらに小さいものです。 原子の中はものすごくスカスカな状態だったのです。私たちは誰も、自分の体がスカスカだとは思っていません。でも、ミクロの世界に入っていくことができたとすれば、私たちの体をつくる原子がとてもスカスカなことに気が付くことでしょう。 原子核もとても小さなものだったので、それ以上分割することはできないと思われていました。しかし、1919年に陽子が、1932年に中性子が発見されて、原子核がそれらの粒でつくられていることがわかりました(「図:原子や原子核の内部構造とその大きさ」の中央部)。 しかも、それで終わりではなかったのです。陽子も中性子も、その中をよく調べてみると、クォークというもっと小さい3つの粒がくっついてできていたのです(「図:原子や原子核の内部構造とその大きさ」の右部)。陽子はアップクォーク2個とダウンクォーク1個、中性子はアップクォーク1個とダウンクォーク2個という組み合わせの違いはありますが、3個のクォークでできているということは同じです。つまり、原子核はアップクォークとダウンクォークの2種類のクォークだけでできていることがわかったのです。これに原子核の周りを回っている電子が加われば、原子ができます。 つまり、原子はアップクォーク、ダウンクォーク、電子の3種類の粒だけでつくられているのです。この3種類の粒が組み合わさることで、118種類の原子になります。結局のところ、この世界はたった3種類の粒からできていることになります。