【独自取材】「お布施などを不正に得た」として“なりすまし住職”に1億円の賠償請求も、10年以上法要営み「被害を与えたというより“門徒さんを維持した”」と真っ向対立!専門家が指摘する日本の寺の現状とは―
■ポイント①『西方寺』には、そもそも“住職”がいない
原告である西方寺側の訴状によると、ポイントは大きく2つ。1つ目のポイントは、西方寺には住職がいなかったことです。 訴状などによると、西方寺の初代住職は1984年に死亡。その後、初代の甥が『住職代務』として跡を継ぎ、兼務先の兵庫・西脇市に居住していましたが、2022年に死亡しました。それ以降、『西方寺』には住職が存在しない状態で、当時は住職代務を申請中だったということです。
Q.住職を置かずに、住職代務がずっと続くことはあるんですか? (正覚寺住職でジャーナリスト・鵜飼秀徳氏) 「よくあります。今回、住職代務は兵庫県に住んで、『西方寺』を兼務していたということなので、西方寺には住んでいなかったんですね。こういう形態のお寺は今、全国で1万以上あります」 Q.僧侶の数が減っているということですか? (鵜飼氏) 「女性の参入などが増えているので、僧侶になる数は、恐らく激減はしていないと思います。ただ、マッチングしないんです。収益があるお寺は、なり手がいっぱいいるわけですが、檀家さんが少ない地方のお寺は、なり手がいません。今回は恐らく、そんなに多くの門徒さんを抱えていない“都市型のお寺”だったのだと思います」
■西方寺の住職になりすましていたA氏は何者?実は父と共に所縁が…
井尻氏によると、西方寺・住職になりすましていたとされるA氏は、実は浄土真宗本願寺派の別の寺の僧侶で、A氏の父は西方寺に所属する僧侶でした。A氏は父と共に西方寺の業務を行っていて、A氏の父は2012年に死亡しましたが、西方寺の門徒の名簿を無断で漏洩。父の死後、A氏は西方寺の住職と名乗って法要などを行い、名簿を利用して、作製したカレンダーを門徒に配付していたといいます。
訴状によると、西方寺側は「カレンダーには、A氏自身の連絡先を西方寺の連絡先として記載していた。西方寺への法要等の依頼が全てA氏に連絡が来るようになっていて、お布施をA氏が独占していた」と主張しています。 Q.『僧侶』と『住職』は、どう違うんでしょうか? (鵜飼氏) 「『住職』は、お寺の宗教的な責任者です。社長に当たる『代表役員』と宗教的な責任者は兼任が多く、聖なる部分は住職・俗なる部分は代表役員と、混在しているのが日本のお寺の特徴です。今回に関しては、住職代務が離れた所に住んでいて、お寺をずっと空け放しにすると檀家さんや門徒さんのことができないので、誰かが入っていたということです。つまり、雇われているA氏の父親がずっと入っていたんですが、恐らく息子のA氏に手伝わせていて、父親が亡くなって、要領をわかっているA氏が檀家さんの名簿を持っているから、なし崩し的に続けてきたという構造だと思います」
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