東京五輪メダル候補の世界リレーでなぜ痛恨のバトンミス失格が起きたのか?
3走までは38秒34でトップを飾った米国を圧倒しており、流れは非常にスムーズだった。 しかし、「バトンに不安はなかったので想定外という感じです」と小池が話すように、自信を持っていたバトンパスで自滅するかたちになった。 「練習でミスがなくても本番でこういうことがある。同じミスをしないためにどうしたらいいのか、しっかり考えたい。もし同じことになったらどう対応するのか。映像を見て、みんなで話し合って共有することが大切かなと思います」と小池が言えば、今回のメンバーで最年長となる山縣も、「1位を狙ってやってきたので、結果にはすごく悔しい気持ちがあります。ただ、リレーなので、こういう可能性がある。結果をしっかり受け止めて、次に向かっていきたい」と前を見つめた。 今回の世界リレーは東京五輪への「スタートライン」でもあった。上位10カ国にドーハ世界選手権(9~10月)の出場権が与えられる。そして、ドーハ世界選手権の上位8カ国は東京五輪出場権を獲得することができるからだ。 世界リレーの過去3大会は、15年の3位が最高。東京五輪では「37秒40切り」を目指しており、今回は「37秒台」と「優勝」を目標にしていたが、地元の大歓声を生かすことができなかった。 今後は5月19日のゴールデングランプリ大阪などに出場予定。日本のレベルを考えると、タイムでドーハ世界選手権の出場権をつかむことは濃厚だ。それでも、今回のようなミスは「金メダル」を目指すチームとしては致命傷になる。しかも、今後のリレーメンバーを予測すると、バトンパスの精度をもっと高めていくことは簡単なことではない。 日本の男子4×100mリレーは近年、「不動」ともいえるメンバーで結果を残してきた。国際大会決勝のオーダーは以下の通りだ。 ●16年リオ五輪(銀メダル)1走・山縣、2走・飯塚翔太、3走・桐生、4走・ケンブリッジ飛鳥 ●17年のロンドン世界選手権(銅メダル)1走・多田、2走・飯塚、3走・桐生、4走・藤光謙司 ●18年アジア大会(金メダル)1走・山縣、2走・多田、3走・桐生、4走・ケンブリッジ