「自分がいるからうまくいく」と、経営権まで奪われ…aikoが法廷で語った事務所元取締役「洗脳」の全容
ガバナンス不全の音楽業界
弁護側は反対尋問で、千葉被告がaikoのデビュー以来、17年に役員報酬を得るまで無報酬で働いてきたことをaikoに認めさせ、その「献身」を強調した。千葉被告は「自分の利益のために、会社に損害を与えたことはない」と、無実を主張、8月14日の公判で被告人尋問が行われることになっており、そこで千葉被告のaikoへの思いが語られる。 千葉被告の派手な暮らしぶりは、業界関係者の間ではよく知られ「なにか(悪いことを)やっているんじゃないか」という悪評を立てられることもあった。aikoとの特別な関係のなかbuddy社の役員を10年近くも務め、その利益相反行為を見逃し続けたポニーキャニオンには管理責任が発生しよう。 人気アーティストを見出し育てた大物プロデューサーの特別背任事件は、ガバナンスが不全でコンプラに欠ける日本の音楽シーンの歪みを改めて露呈している。
伊藤 博敏(ジャーナリスト)