なぜ森保監督は香川と乾を招集しなかったのか?
世代交代が加速化するか
ロシア組の招集について、新体制を始動させた9月の時点で指揮官は「どのタイミングで絶対に呼ぶ、ということはないですけど、それぞれのコンディションを見ながら決めたい」と言及していた。 香川は9月に入ってようやくピッチに立つ機会が増えた。しかし、程度は不明なものの、足首を痛めたという情報もあり、直近のリーグ戦とUEFAチャンピオンズリーグでベンチ外となっている。乾はリーグ戦で6試合315分間プレーしているものの声がかからなかった。 対照的に所属クラブで出場機会を失っている吉田、柴崎、そして原口が復帰した。それぞれのリーグ戦で原口は3試合99分間、柴崎は2試合118分間、吉田に至っては一度もピッチに立っていないが、森保監督はロシア大会でベスト8に駒を進めたウルグアイと戦える機会を優先させる形で復帰させた。 「もともと世界の舞台では実力を見せてくれましたし、そういう選手にチームへ加わってほしいという思いもありました。まだまだ招集したい選手はたくさんいますし、今回の選手がどれくらい残っていくかは実力の世界。試合を見たうえで今後も視察と情報収集をして、その時点でのベストのチームを作っていきたい」 現時点での短期的な目標は、来年1月にUAE(アラブ首長国連邦)で開催されるアジアカップでの覇権奪回。残された親善試合が4つしかない状況だからこそ、森保ジャパンのなかで生き残っていくうえで、今回の10月シリーズが占める比重は大きい。 リオデジャネイロ世代の中島や南野が再び眩い輝きを放てば、森保監督が就任時に掲げた「世代間の融合」がさらに進むだけではない。もうひとつの所信である「世代交代」も、香川たちが長く居場所を築いてきた2列目で最初に起こる流れが加速されていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)