パックン「1日1食100円の生活から、東京に家を持ち、ものを自由に購入できる現在。それでも数十円の節約を続けるのは、精神的な安定を買えるから」
◆苦労続きの母に素晴らしい老後が 母はその後、コツコツ貯めたお金を投資で増やし、現在はノースカロライナにあるリタイアメントコミュニティ(退職した高齢者が集まって暮らせるよう設計された街)で、悠々自適の生活を送っています。 そこは入居の一時金が数千万円しますが、ホテルのような施設で、住人は一人ずつコテージを持ち、掃除はハウスキーピング任せという優雅さ。食事は共同のレストランで食べ、みんなでカラオケをしたりプールで泳いだり。時にはバスに乗ってスポーツ観戦に行ったりもします。うらやましいぐらいです! 苦労続きだった母ですが、こんなに素晴らしい老後を過ごすことができるようになって、本当によかったと思っています。 今年の7月は、僕の高校の35周年記念の同窓会でコロラドに帰りました。母が再婚相手と一緒にノースカロライナから、姉がカリフォルニアからきてくれて、久しぶりに家族全員が揃って。 僕と2人の子どもたちを加えた総勢6名で山の中にある素敵なリゾートホテルに泊まり、川下りをして遊ぶなど大盛り上がり! 思い出に残る、最高の夏休みになりました。 大学を出て僕が日本に行くと告げた際、母が口にしたのは「いつ帰ってくるの?」という一言だけ。僕は、「1年だけ行ってくるね」と言い残して家を出たのを覚えています。けれどそれが2年になり、3年になり、ついには遠い異国でお笑い芸人になってしまったのですから、想定外もいいところです。(笑) 母はその後も口を開くたびにいつ帰るのか尋ねてきましたが、15年が過ぎた頃から何も言わなくなりました。もちろん内心は寂しく思っているはずなので、最低でも年に一度は会いに行くようにしているんです。
◆1ペニーの節約は1ペニーの稼ぎ 現在の僕は、家庭を持ち、東京に家も購入し、よほど高価なものでなければ自由に買える生活を送れています。けれど今でも僕のなかには、ペン1本を買うにも躊躇していた子ども時代の自分がいて。ものを買う際には「これは本当に必要で、僕を幸せにしてくれるか?」と考えてから、お財布を開いているのです。 英語のことわざに、「1ペニーの節約は1ペニーの稼ぎ」という言葉があります。働いてお金を得るのもいいですが、「使わないこと」も立派な収入源なのです。 たとえば、今日はもうすでに二つも節約で稼いできました。一つ目は、今飲んでいるジュース。これは先ほど道中の自販機で買ったものですが、コンビニより30円、テレビ局の自販機より10円も安い! こういうものを見つけられただけで、僕は一日中ご機嫌になれます。 二つ目は運動です。実は午前中、区のスポーツセンターに行って、たまたま練習していた地元の大学と高校のバレー部のみなさんに交じって汗を流してきました。スポーツジムに通うと月に何千円もかかりますが、これなら数百円で健康を維持できる。こうやってゲーム感覚で節約して、コツコツ「稼いで」います。
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