「お前は性欲が無くていいよな」タブー視された障害者の性と苦悩
障害の内容によっては、風俗店を利用することに不向きなこともあるだろう。けれども「性欲をどうしたらいいのか」と悩む当事者や家族に寄り添い、解決を探ってくれる存在自体が今はないに等しい。 実際、障害児を持つ親に状況を聞いたところ、「父母の会などで子供の性について話題が出ることもあるが、具体的な解決方法をきちんと教えてもらえることはない。雑談の1つとして話題に上がり、解決のないままその話題が締めくくられる」とのことだった。悩みを相談する公的窓口さえない状況なのだ。 「お客様は恋人や配偶者がいらっしゃらないから利用しているという方が多いです。出会う機会すらないとお話しする人もいますね。 『障害が重度になればなるほど諦めなければならないことが腐るほどある。いろんなことを我慢するのではなく、諦めることで折り合いをつけている』と話してくださった人もいました。諦めてきたことを繰り返してきているから、最初から望まなくなるんだ……とのことで、それを聞いた時には、重い空気になりましたね」(同)
日常的に会う異性であるヘルパーや支援員に対しては「そういう目で見てはいけない」と固く誓い、感情を押し殺している人が多いという。 「性機能がないのだから性欲もないだろう」という健常者の勝手な思い込みにより、性欲がない存在として扱われることもある。健常者の示す「これが当たり前」「これが普通」という態度は、時に暴力的だ。冷たい隔たりを前にして、“性”という人に打ち明けづらい部分を、細やかに丁寧に説明することができる人は、一体どれだけいるだろう。 ● 障害者専門風俗の存在を オープンにしてもいいのでは 「私自身、最初の頃はうまく対応できないこともありました。お客様自体は射精することにこだわっていないのに、私がそのように思い込んで進めてしまったり……。 射精できなかった時に私が申し訳なく思っていると、『そこは気にしなくていいんだよ』と言ってくれることもありました。お店を見つけた時に、すごい嬉しかったと話してくれた人もいました。直接言葉でそのように伝えられなくても、一緒にいる時間の中での言動から、お店を利用することの嬉しさを感じています。