「お前は性欲が無くていいよな」タブー視された障害者の性と苦悩
● 障害者の性的欲求を カバーするお店はわずか コースは3つ用意されており、デートを楽しむ「なごみコース」は60分1万円、着衣でのハグなど軽いスキンシップとマスターベーションのお手伝いの「ふれあいコース」は60分1万3000円、裸になった女性とイチャイチャとした時間を楽しめるデリヘルコースは60分1万8000円というきめ細かさである。同店の店長は言う。 「利用者は脊椎損傷など車椅子を使っている方が割合として多く、全盲の方やパーキンソン病で体がほとんど動かないなど様々な人がいます。障害が重度になるほど、自宅や施設など生活の中に入れてもらうことが多く、ラブホテルを利用するのは車椅子利用者など障害の軽い人ですね。 施設で暮らしている場合は、『友達という設定で来てほしい。いかにも風俗嬢というファッションではなく、普通の女性らしい格好でお願いしたい』というリクエストがあったりしますよ」 現在、日本には身体障害者(身体障害児を含む)は436万人、知的障害者(知的障害児を含む)は108.2万人、精神障害者392.4万人で、総数は936.6万人である。これは日本の人口の約7.4%にあたる。しかも、身体障害者のうち65歳以上の割合は74%にもなる(2018年、厚生労働省)。
それに対して、障害者専用を掲げる風俗店は日本で20店舗あるかどうかだ。全障害者の半数を男性だと仮定し、その8割が18歳以上とするなら、約375万人いることになる。既存の障害者専用風俗店だけでは対応できない市場規模である。 もちろん障害者の中には専用を謳っていないお店に足を運べる人もいるだろう。けれども、障害者に対応できるスキルや配慮をもったキャストを必要とする障害者もいるはずで、そう考えると確かに障害者の性的欲求は無視されていると言っていい状況だ。 ● 女性のヘルパーを「性の対象」に してはいけないと自制してしまう 「『そういう話をすると嫌がられる。同じ男性同士なのに気持ち悪がられるから辛い』『お前は性欲がないからいいよな……みたいに言われる』『性欲がないと思われているから、こちらから話題に出すことが憚られる』とおっしゃったお客様もいます」(貴美子さん)