「どこも高い」ため息が出る都内マンション。23区は初の1億円超え、もはやお金持ちしか買えない? アジア富裕層の投資でマネーゲーム化、パワーカップルも相場を引き上げ
市況に詳しい不動産経済研究所の松田忠司上席主任研究員は都内のマンションについて「(当面は)値段が下がる要素はない」と断言する。 実際、足元の調査でも郊外のファミリータイプより都心の高額物件の方がよく売れている。日銀によるマイナス金利政策解除に伴う住宅ローン金利上昇の影響も「今のところ限定的」という。建設業界は人手不足にあえぎ、人件費上昇はこれからも続く見通しだ。 工事費が高くなった影響で、郊外のマンションでも価格を引き上げないとデベロッパーが利益を確保できないが、郊外の高額物件は消費者が価値を感じにくい。こうしてマンションの立地が駅に近い便利な場所に絞られた結果、2023年の新規発売戸数は2万6886戸と、ピーク時の2000年に記録した9万5635戸から7割を超える減少となった。供給減が値上がりに拍車をかける構図だ。 デベロッパーを束ねる業界団体の不動産協会が2024年3月中旬に開いた記者会見で、吉田淳一理事長(三菱地所会長)はこう語った。
「都心部のマンションは超高級というか、都心部にふさわしい機能を持つべきだ。個人的には、海外の方にも選んでもらえるような高級なものがふさわしいと思う」 「ただ郊外、都内でも周辺部であれば、必ずしも高級ということではなくて、ダブルインカムの方を含めた実需層が生活の拠点として選ぶものを造ることは可能だ。都心部でも2人世帯のパワーカップルが住めるようなものはニーズがある。多種多様なマンションがこれからも造られていくのだろう」 「JR山手線の内側で考えると適地が足りなくなってきたが、(市街地再開発や古いマンションの建て替えなどで)ここ数年は適地もある。何とか現状の規模くらいは、しっかりとマンションを供給する流れが続くのではないか」