「どこも高い」ため息が出る都内マンション。23区は初の1億円超え、もはやお金持ちしか買えない? アジア富裕層の投資でマネーゲーム化、パワーカップルも相場を引き上げ
海外富裕層の存在も見逃せない。住宅情報サイト「SUUMO」の柿崎隆副編集長は「中国や台湾のお金持ちが(都心マンションを)何戸かまとめて購入したという話をよく聞く」と明かす。円安進行による割安感や、東京への人口集中を前提とした「手堅い資産」として海外からも資金が流れ込んでいるようだ。 ▽再開発狙い、中古でマネーゲーム 東京都港区にありながら喧噪とは無縁の高級住宅街として知られる白金。2023年末、7階建てマンション「朝日エンブレム白金台」の一室が新たに売りに出た。築27年で広さは約87平方メートル。ファミリータイプの角部屋には4月下旬時点で1億6500万円の値が付く。 仲介大手の大京穴吹不動産(東京)が仕入れ後に間取りや機能を刷新するリノベーションをして、絵画を飾る空間を設けるなど「白金仕様」に内装を変更した。売買を担当するのは、同社が2021年に港区に新規出店した「麻布レジデンスサロン」。億ションを専門に取り扱っており、住み替えを考える日本人富裕層や値上がり益を狙う海外投資家が主な客層だ。
麻布レジデンスサロンの七尾美紗店長によると、特に海外投資家は「再開発を当て込んで先回り買いをする人が多い」という。中古物件が再開発でタワーマンションに化ければ、膨大な差益が転がり込むという算段らしい。買ってすぐ転売する動きもあり、さながらマネーゲームだ。好調な市況を受け、大京穴吹不動産は億ション専門店を都内で増やす計画だ。 調査会社の東京カンテイによると、都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)では2023年の70平方メートル当たりの平均売り出し価格は前年比6・3%上昇の1億419万円。調査を始めた04年以降、価格は初めて1億円を超え、この10年で2倍に膨らんだ。 高橋雅之主任研究員は「円安で外国人が買いやすくなったが、人気は手堅い需要が見込める都心に集中している」と分析する。中古市場は抽選販売のような新築特有の煩わしさも少なく、海外勢の存在感が大きい。 ▽業界団体トップ「都心部にふさわしいのは超高級」