【SNSと選挙】『斎藤旋風』インターネット上の情報量に圧倒的な差があった X投稿・ライブ配信・立花孝志氏...専門家は「既存メディアは、信頼される努力を続けなければ」 兵庫県知事選挙を検証
SNS選挙のメリット・デメリットは?
専門家によるとSNS選挙には、以下のようなメリット・デメリットがあります。 <メリット> ▼豊富な情報量 ▼発信側のコストが低い ▼発信情報の取捨選択が自分でできる ▼拡散力が強い <デメリット> ▼情報の真偽が不明 ▼間違った情報を止められない ▼情報が偏りがち テレビや新聞が持つ制約(時間や紙面など)を持たないSNSでは、大量の情報を発信できるうえ、コストがあまりかかりません。いっぽう編集など「本当は伝えたいが、紙面の関係で載せてもらえない」という心配がないのです。自分のしたい優先順位で情報を出せることも強みです。そして何より、拡散力が強く、第三者によってどんどん拡散してもらえます。 一方、情報の真偽が不明であることや、間違った情報を止められないなどのデメリットもあります。また、広告収入で成立しているので「アテンションエコノミー」という言葉のように、“質”よりも、“気を引くもの”が注目される傾向にあり、また、AIによるレコメンド情報=「あなたにおすすめ」もあって、情報が偏りがちになります。こうしたことからテレビの場合は多くの人が同じものを見ていますが、ネット上では受け取る情報が「パーソナライズ」されて、情報が偏ってしまうこともあります。 なお、偏った情報を摂取し続けた場合、「情報的不健康」に陥ってしまうリスクがあります。例えばイギリスでは、2020年にEU離脱=ブレグジット問題がありました。当時の国民投票では、離脱支持が51.9%。その後、57%の国民が「離脱は間違いだった」と評価しています。 離脱の良し悪しは断定できませんが、当時出回っていた「不確かな情報」が離脱の後押しになったとする分析もあるということで、「情報的健康」というものを考えていく必要もありそうです。 (データは英調査会社YouGov調べ 2023年7月)
SNSは「規制難しい」 既存メディアは「信頼される努力が必要」
では、どうすればSNSの「情報的健康」を手に入れられるのでしょうか。鳥海教授はSNSの規制は難しいと言います。「言論の自由」の建前があるうえ、海外企業が運営しているSNSが多く、それを日本の法律で規制するのは厳しいようです。そのため、SNSを知るべきと次の点を挙げています。 ▼偏っていると知る ▼だまされるものと理解する ▼だまされたら受け入れる 一方、テレビなどの既存のメディアについて、鳥海教授は「信頼される努力を続けなければならない」と指摘しています。地上波で紹介しきれない情報をネットにもアップすることや、ホンネで語る番組作りを目指すことなどを挙げています。 (2024年11月19日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)