【SNSと選挙】『斎藤旋風』インターネット上の情報量に圧倒的な差があった X投稿・ライブ配信・立花孝志氏...専門家は「既存メディアは、信頼される努力を続けなければ」 兵庫県知事選挙を検証
異例の盛り上がりをみせた兵庫県知事選挙。再選した斎藤元彦知事の『劣勢からの大逆転劇』を後押ししたのは“SNSの広がり”だと斎藤氏は話しました。 【画像を見る】斎藤氏のX投稿数は?YouTube再生数は?稲村氏と比較 東京大学大学院・鳥海不二夫教授とネットコミュニケーション研究所・中村佳美代表ら専門家の見解も交えて、「選挙とSNS」「選挙とテレビメディア」について考えます。
情報量で圧倒!?データで見る斎藤知事の『SNS戦略』
今回の知事選の結果に、SNSはどのような影響を与えたのか、まずはこんなデータがあります。 SNS(X)上での斎藤知事に関する投稿について「支持」の投稿と「不支持」の投稿、それぞれの推移を東京大学大学院・鳥海不二夫教授がまとめました。それによると、「文書問題」を報じた7月~9月頃は、斎藤知事「不支持」の投稿が多く、不信任が可決された9月19日頃から「支持」「不支持」が拮抗。そして、立花氏が“参戦”した10月27日頃から「支持」が「不支持」を上回り、告示日(10月31日)には圧倒的に「支持」が上回りました。 では斎藤知事の支持がSNSで広がった理由として専門家は(1)情報提供を続けたこと。(2)外に向けて発信したこと。の2点を指摘。情報提供を続けることで自主的に応援する存在も増え、さらに斎藤氏は自分を客観視することで支持者以外へうまく発信できたのではないかとみています。 また、Xの「投稿数」を見ると、斎藤氏本人の投稿数は決して多くありませんが、応援アカウントの投稿数は多く約200。稲村氏の投稿数も約200と同じなのですが・・。 <Xの投稿数> ▼斎藤氏(公式アカウント):30 ▼斎藤氏(応援アカウント):189 ▼稲村氏(応援アカウント):197 (ネットコミュニケーション研究所調べ) 数は同じでも、Xの「リプライ(返信)数」と「リポスト(再投稿)数」を見ると、斎藤氏は稲村氏の10倍近く。大きな差が見られ、斎藤氏に対する「積極的な支持」の多さが読み取れます。 <Xのリプライ(返信)数> ▼斎藤氏(公式アカウント):479 ▼斎藤氏(応援アカウント):107 ▼稲村氏(応援アカウント):55 (ネットコミュニケーション研究所調べ) <Xのリポスト(再投稿)数> ▼斎藤氏(公式アカウント):3150 ▼斎藤氏(応援アカウント):1000 ▼稲村氏(応援アカウント):373 (ネットコミュニケーション研究所調べ) また、1対1でコミュニケーションが取れるYouTubeの「ライブ配信」の数にも大きな差が見られ、インターネット上にあった情報量に圧倒的な差があったことがわかります。 ▼斎藤氏:19回 93万5000再生(10月24日から) ▼稲村氏: 2回 1万1110再生(最終日のみ) (ネットコミュニケーション研究所調べ) この差をさらに広げるのが「フィルターバブル」です。XやYoutubeなどでは、その仕組み上“声が多い意見”に接触する機会が多く、さらに最初に見た意見に接する機会がどんどん増えていくのです。専門家はさらに、繰り返し同じものに接することで好印象を持つようになる「単純接触効果」も働いたのではないかと指摘します。