竹中功・元吉本興業専務が経験に基づく“謝罪の極意”をラジオで伝授
■謝罪会見を開くたびに呼び出され… 田畑:そこからキャリアが始まっていったんですね。その後もさまざまな現場を踏んでいって専務まで。 竹中:そうですね。吉本は当時、47都道府県住みますプロジェクトがありましてね。各都道府県に社員と芸人を住まわせて。そんなことで僕も一時、東北を担当して、地方の開拓もしながら「事件だ竹中、戻ってこい」と呼ばれたら大阪とか東京に戻ってきて謝罪ですよ。謝罪のためにあっち行ったりこっち行ったりしてましたね。 田畑:吉本興業在籍時代に経験した謝罪会見はどんなものがあったんですか。 竹中:割と大きかったのは横山やすしさんの契約解除。お酒で失敗したり、ちょっとした暴力があったりとかいろいろあったんで。いくら懐が深い吉本でも、メディアに迷惑かけたりお客様にも迷惑かけるようなことがあったんで「タレントとしての活動を、吉本はもう面倒見ません」ってことでの契約解除発表会見。んで、当時の役員と僕の2人でその発表会見をやったのはえらい思い出ですね。「僕らが子供のときから見ていた人が消えていく」っていう感じと「こんなに大人も失敗し続けんねん」みたいなものを両方見たので、これは最初の大きなエポックな会見でしたね。 ■謝罪会見のポイントはシナリオ作りから 田畑:竹中さんが担当したものは、他にどんなものがありましたか。 竹中:タレントさんがやっているサイドビジネスの焼肉屋さんで食中毒が出たとかね、タレントさんが酔っ払ってガールズバーで店長に暴行をはたらいて、そのまま逮捕されたりとか。 田畑:そういう会見があると、竹中さんはどういうポジションなんですか。会見に出て答えていたってことですか。 竹中:出ます。だから僕はその記者会見のシナリオを作るんです。細かいところまでは書きませんけれど、例えば僕が司会をしながら責任者で、当事者もおって、あとはたまに社長がおったり、担当弁護士がおったりするんです。その時に誰がどの順番でどう喋るとか、何について喋るとか、ここはみんなで立ち上がって頭を下げるとかっていう段取りを決めなあかんのですよ。そのためには何月何日の何時にどんなことが起こったかというファクトをしっかり聞き取っておかないと。例えば焼肉屋さんの場合でも、4人の方が入院していたら、「5人ぐらいですわ」って言ったら怒られるんですね。入院しているということは確実に人数も分かってるし、容態も分かってるわけですから。事によったらその人らの個人情報入りますけど、例えば大学生と言っていいとか、10代やったら「ビール飲んでへんか」と言われるんで。そういう意味でのファクトをしっかり聞き取った上で、誰にどんな順番で謝るかっていうのを設計するんですね。もちろん頭を下げに行って「申し訳ございませんでした」と言ってるんですけども、やっぱりその前後で何をどう順番に説明するかっていう組み立てが仕事やったですね。