茨城県産加工食品 スイス照準 納豆や干し芋、菓子 富裕層向け試験販売
加工食品の輸出先の開拓を目指し、茨城県が高所得層の多いスイスに照準を合わせた市場調査を始める。現地の日系スーパーで12月中旬から約2カ月間、納豆や干し芋、菓子、水産加工品などを試験的に販売。消費者の反応を今後の商品開発と輸出品目の選定に生かし、県内企業の販路拡大を支援する。 市場調査はジュネーブとローザンヌの2都市2店舗で実施。「茨城フェア」として県内企業9社の計30商品を店頭に並べる。販売当初は県職員らが出向き、消費者に同国でなじみのない干し芋などの原料や生産方法、食べ方を紹介する。 納豆や干し芋以外では、コメやようかん、緑茶、駄菓子、カツオのたたきなどを販売する。いずれも日系スーパーの要望を踏まえ、添加物に配慮した健康的で「茨城らしい自然食品」を選んだ。 スイスを含む欧州市場は動物性添加物などの輸出基準が厳しいが、成熟した食文化があり、日本食も一定程度の浸透がある。 県は昨秋、初めて同国でフェアを開催し、健康志向の強い消費者の傾向を確認。好評だった県産米は、そのまま販売を継続している。今回は調査を生かし、商品の一部を入れ替え、さらなる調査と需要の掘り起こしを狙う。 県加工食品販売チームによると、スイスは2023年の1人当たり名目GDPが10万1510ドルで、日本の約3倍。物価は高いが労働者層の賃金も高い。同チームは「輸出コストがかかる分、高価格となる県産品を買える経済力がある」と持続的な輸出に期待する。 県は本年度、欧州を含む5カ国・地域に専門家を配置した。卸業や小売、飲食業などを対象に加工食品を売り込み、販路拡大を図る事業を展開している。 これに対し、市場調査では消費者を対象に加工食品をアピール。認知度の低い茨城県産を印象付け、評価を得た商品をそのまま直接輸出につなげる。 同チームの大曽根理枝子チームリーダーは「わずかな条件の変更で輸出に結び付く加工食品は少なくない。市場を切り開き、スイスを起点に加工食品の輸出を欧州全体へ波及させていく」と話した。
茨城新聞社