知らないことを「ググる人」は時代遅れ…東大教授が毎日使っている「無料で高性能の検索サービス」
生成AIの開発競争が激化し、高性能なサービスが次々と登場している。東京大学薬学部の池谷裕二教授は「私が毎日のように利用しているのはAI回答エンジンだ。従来型のインターネット検索では、表示されたホームページのリストから自分が求める情報を探さなくてはいけないが、回答エンジンならたった一回の検索で欲しい情報にたどり着くことができる」という――。 【写真を見る】ChatHubを用いてOpenAI(左)、Claude(中)、Gemini(右)に当時質問をしたときの回答 ※本稿は、池谷裕二『生成AIと脳 この二つのコラボで人生が変わる』(扶桑社)の一部を再編集したものです――。 ■仕事以外でも役立つ「回答エンジン」 「Perplexity」や「Genspark」や「Felo」を使っているでしょうか。 私は使わない日はないというほど、よく利用しています。これらは「回答エンジン」と呼ばれます。質問を投げかけると、生成AIがインターネット上のコンテンツを効率よく要約してくれます。便利で、仕事はもちろん、勉強や趣味にも大いに役立っています。 とくにGensparkは高性能なだけでなく、全サービスが無料で利用できます(いずれ有料化される可能性は十分にあります)。また、和製の回答エンジンであるFeloも高性能で、この2つが二大巨頭になるかと思います。 2024年10月末には、「ChatGPT search」という回答エンジンが実装されました。これに対抗するように、同日にはGoogleも「Grounding」という名称で、新たな回答エンジンを出してきて、熾烈な争いをしています。エンドユーザーである私は急に便利になって喜んでいます。 回答エンジンには、回答の正しさを確保するために、偽情報かどうかを確認しやすいように、根拠となる文献を提示してくれるという特徴があります。また、最近では、AI側でも自動でダブルチェックする機構を備えていることもあります。
■ネット検索と違い、最短で情報にたどり着く 結果的に、従来型のインターネット検索を使う機会が減り、一部では「ググるのは時代遅れ」と言われるようにもなりました。 インターネット検索で表示される結果は、関連のあるホームページのリストです。利用者は、そのリストのうちから「これぞ」と思ったURLをクリックして、該当するホームページを読み、また検索結果のリストに戻っては、別のホームページに飛ぶ、といった作業を繰り返します。つまり、検索したとしても、その後に、何度もクリックする必要があり、それ自体が面倒なわけです。 一方、回答エンジンは、そのリストの先のホームページの内容をまとめてくれるため、欲しい情報に一回の検索でたどり着くことが多いのです。この簡便さに慣れてしまうと、もはや古典的な検索エンジンに戻ることはできなくなります。私はまさにこれです。 ■Googleはオリジナルサービスで対抗 ただ、回答エンジンの利用が広がれば、困るのは企業です。要約で事足りてしまえば、自社サイトへの訪問者が減少するのは目に見える話。そのため、現在、世界のトップ企業の約35%が、回答エンジンによる自動検索(スクレイピング)をブロックしているそうです。こうなると、回答エンジンの万能性は下がってしまいます。 もちろん、当のGoogleにとっても、回答エンジンの登場は大問題です。自社の主力サービスである「インターネット検索」が脅かされることになります。危機感を抱いたのか、同社が2024年に発表したのが、自社オリジナルの回答エンジン「Search Labs」です。これも無料で利用できるサービスです。 Search Labsの設定をオンにしておくと、いつも通りGoogle検索をするだけで、画面上部にコンテンツの要約が表示されるため、便利です。要約部だけで必要な情報が得られるため、わざわざオリジナルのウェブサイトを閲覧する機会が少なくなりました。