名伯楽・内田順三も驚いた「毎日素振り1000回」完遂。才能よりも努力で大成した選手とは?
内田コーチが向き合ってきた選手の中で、才能以上に努力して成長した選手は誰かと聞くと、「やっぱり一番は、金本(知憲)でしょうね」と即答した。 広島・阪神の主軸で活躍し、1492連続試合フルイニング出場と1万3686連続イニング出場(ともに世界記録)を達成して「鉄人」と呼ばれ野球殿堂入りもした、球界を代表するスラッガーだ。 広島にドラフト4位で入団した金本は、当時は細身で非力で即戦力には遠く及ばない、まさに「作る」に分類される選手だったという。1年目はほぼ2軍暮らしで、1軍試合出場はわずか5打席、無安打という成績だった。 2年目も芽が出ず、金本は2軍暮らしが続いた。ファーム遠征では予算の都合もありメンバーから漏れたこともあった。しかし金本は、居残り組に命じられた「素振り1000回」という課題をひとりだけやり通した。素振り1000回は体力強化やハングリー精神を引き出すためであり、内田コーチも内心はできるはずはないと踏み、「努力目標」という意味合いで命じた課題だった。それでもひとりだけやり遂げたのだ。 「普通の選手は2、3日はやるけど途中でやめてしまいます。でも、金本だけは違いました。遠征から戻って報告を聞いたときは驚きました。私の中ではできるわけがないと思いながら命じた努力目標で、選手に確認もしませんでしたから。遠征メンバーから外れた悔しさで振り続けたのかもしれませんが、『なにくそ!』という正真正銘の負けん気、根気の強さの持ち主でした。 試合でも納得できるバッティングができなかったときは、居残りして1時間でも2時間でもひとりで打ち続けていましたからね。普段からどれだけ厳しい練習をさせてもへこたれずに取り組みました。類まれな負けん気と根気の強さが、彼をどんどん飛躍させ、あそこまでの選手にしたのだと思います」 ■「選手にとって余韻の残るコーチでありたい」 ここまで書いてきた内田コーチの指導法はあくまで、その才能を評価され、既存のNPB12球団に入団する選手に対してのものである。くふうハヤテでは、同様の「作り・育て・生かす」の指導ができるのか?