スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」は走りも一級品! 激戦のコンパクトSUV市場で個性を放つ。【試乗レビュー】
フロンクスの走りは一級品!
フロンクスが搭載するパワートレインは、K15C型1.5L直列4気筒エンジンに、2.3kW(3.1PS)/60Nmのモーターを使用するマイルドハイブリッドシステムと6速ATを組み合わせたもの。2WDのK15Cは74kW(101PS)/135Nm、日本専用となる4WDモデルのK15Cは73kW(99PS)/134Nmと出力が微妙に異なっている。ライバルには3気筒エンジンを搭載しているものが多く、この点で一歩アドバンテージがある。 ドライブモードは、2WDに「スポーツ」、4WDには「スポーツ」だけでなく、路面状況に合わせて使い分けることができる「スノー」、「グリップコントロール」、「ヒルディセントコントロール」の3つが追加されている。 その走りはというと、日本の路面に合わせてチューニングしたタイヤ(195/60R16サイズのグッドイヤー・アシュアランストリプルマックス2)と、スプリングとショックアブソーバーの設定、ホイールハブ締結力アップのためのボルト数の4本から5本化、電動パワステの操舵アシスト力調整などによって、全く不満が出ないレベルに到達している。 機械式駐車場に収まる1550mmの全高や、最小回転半径4.8mという小回りがきく取り回し感は、日本での使い勝手にピタリとマッチ。6ATを採用したおかげで、その気になればパドルシフトを駆使してちょっとしたスポーツドライビングも楽しめる。 車速が上がると、2WDはちょっとコツコツとした路面状態を伝える欧州車のような感覚を伝えてくる(VW車っぽい)。一方の4WDモデルは、重量の増加(2WDは1070kg、4WDは1130kg)と前後重量配分の適正化などが功を奏しているようで、終始安定してタイヤが接地しているマイルドな感覚だ。その性格の差は意外と大きくて、ちょっと高価な4WDをわざわざ選ぶ価値(2WDは254.1万円、4WDが273.9万円)が、雪が降らない地域でも感じ取ることができる設定だ。 フロントフェンダーやボディ各所に配置した遮音壁や、ダッシュボード内部のサイレンサーなどによって、通常の走りでは静粛性の高さが嬉しいところ。気合を入れた走りで回転計の針が3000を超えると、それまで静かだったエンジン音が一気に高まるものの、それもまた楽し、というところか。