笑わない人は歯の寿命が短い!? 歯医者で使われる「笑気麻酔」とは? 歯科医師が解説【笑いと歯の関係性】
笑気の安全性や注意点
吸入する成分は酸素に30%以下の低濃度の笑気ガスを混入したもので、速やかに体外に排出されるため、副作用はほとんどなく処置後の回復が早いのも特徴です。そのため、子どもからお年寄りまで高い安全性で使うことができます。 日本でも100年以上の歯科での利用の歴史があり、眼科の手術などでも用いられることがあります。また、全身麻酔では完全に意識を消失しますが、笑気麻酔では意識を保ったままリラックスできるという利点もあります。 その一方で、設備がある歯科医院が多くないため事前にあるかどうかを確認する必要があることや、アレルギー性鼻炎、鼻詰まり等で鼻呼吸が困難な人には不向きなどの欠点があります。 また、アメリカやイギリスの小児歯科ガイドラインでビタミンB12欠乏がある人に対しての使用に副作用の注意がなされるなど、慎重に用いる必要がある場合もあります。 簡便で有効性が高い方法ですが、使用する際は歯科医師から十分な説明を受け、しっかり理解・同意をした上で効果的に活用しましょう。 * * * 以上より、健康な歯を保つために普段から笑う習慣を持つように意識しつつ、もし虫歯になっても笑気ガスを有効に活用するなど、ストレスのない治療を受けるようにしたいですね。
■島谷浩幸 歯科医師(歯学博士)・野菜ソムリエ。TV出演『所さんの目がテン!』(日本テレビ)等のほか、多くの健康本や雑誌記事・連載を執筆。二児の父でもある。ブログ「由流里舎農園」は日本野菜ソムリエ協会公認。X(旧Twitter)も更新中。 参考資料: ・Sakurada K et al: Association of frequency of laughter with risk of all-cause mortality and cardiovascular disease incidence in a general population: findings from the Yamagata Study. J Epidemiol. 188-193, 2020. ・Hirosaki M, Kondo K et al: Association between frequency of laughter and oral health among community-dwelling older adults: a population-based cross-sectional study in Japan. Quality of Life Research. 2021. ・大平哲也:笑いとメタボリックシンドローム.Medical View Point34:4-5,2013. ・平田麗ほか:唾液中の分泌型免疫グロブリンA(s-IgA)に及ぼす笑いの効果.ストレス科学研究17;105-107,2002. ・青未空ほか:亜酸化窒素(笑気)とビタミンB12.ビタミン96.525-528,2022.
文・構成/島谷浩幸