40代で「事実婚関係」を解消したのですが、年金分割で揉めています。事実婚でも「離婚時の年金分割」は可能なのでしょうか? 法律婚との違いや注意点を解説
事実婚とは、法律上の要件(届出)を欠くが、事実上夫婦としての実態を有する関係のことを指します。内閣府の調査によると、事実婚を選択している人の割合は成人人口の2~3%と推測されています。 また、独身者が積極的に結婚したくない理由として「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」と回答した割合は、20~30代では女性で25.6%、男性で11.1%、40~60代では女性で35.3%、男性で6.6%でした。夫婦別姓が認められない場合、法律婚ではなく事実婚を選択し、結果的に事実婚夫婦が増えていくことも考えられます。 事実婚には、法律婚に比べて関係を解消しやすいという面がありますが、事実婚関係を解消した場合でも、法律婚夫婦の離婚と同様に離婚時の年金分割は可能なのでしょうか? ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい? 本記事では事実婚関係を解消した場合の年金分割制度における法律婚との違いや注意点を解説します。
法律婚夫婦の離婚時年金分割について
老齢厚生年金の額は標準報酬(標準報酬月額と標準賞与額)を基礎として算出されますが、離婚時の年金分割では、婚姻期間中の標準報酬が多いほうから少ないほうに一部を分割する形で行われます。 法律婚の夫婦が離婚した場合、3号分割制度と合意分割制度があります。3号分割制度とは、国民年金第3号被保険者である配偶者と離婚をした場合、第3号被保険者からの請求があれば、婚姻期間中(2008年4月1日以後に限る)の第3号被保険者期間における標準報酬月額と標準賞与額を2分の1ずつ分割する制度です。 例えば、婚姻期間中の標準報酬月額が夫40万円、妻0円の場合、3号分割により婚姻期間中の標準報酬月額は夫20万円、妻20万円に変わります。 合意分割制度とは、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があり、当事者双方の合意または裁判手続きにより按分割合を定めた場合、婚姻期間中の厚生年金記録を当事者間で分割できる制度です。 例えば、婚姻期間中の標準報酬月額が夫40万円、妻が20万円のケースで、2分の1ずつ分割することに合意すると、合意分割によって標準報酬月額が夫30万円、妻30万円に変更されます。