史上4人目の日本人TED登壇者、285億調達ベンチャー・オイシイファームCEOが語るTEDの舞台裏
スペシャリストチームが登壇者に伴走
渋々引き受けることにした古賀氏は、TEDとの最初のミーティングで彼らの熱意に驚かされたという。 「スピーカー1人ひとりにTED Talkのためのスペシャリストチームがつくんです。 その人たちが言うには、TEDはパブリックスピーキングが得意な人じゃなくて、世界に伝えるべきメッセージやアイデアを持っている人を選んでいる。だから緊張するのは自然なことだし、スピーチの内容はスピーチライティングのチームがインタビューしてまとめるから大丈夫!と」 そう励まされ、最初はチームに言われるがまま進めていたが、何度やってもしっくり来るような原稿が出来上がってこない。結局古賀氏が自分で原稿を書くことに。3~4カ月で延べ20回以上やり取りし、一時はTEDチームと喧嘩のような状況に陥りながらまとめ上げた。
リハーサルはTED代表自らフィードバック
TED開催まで1カ月を切った2024年3月末。ニューヨークのTEDオフィスでリハーサルが行われた。 リハーサルとはいえ、アンダーソン氏が自ら仕切り、スピーカーたちに次々とフィードバックしていく。TED総出でここまで準備するのか──。その本気度に古賀氏は圧倒されたという。 「そこからはもう本番で最高のパフォーマンスを出すためのフェーズに入り、スピーチ・トレーナーからこれでもかというくらい集中的な指導を受けました」
登壇者の“タイプ”に合わせたスピーチトレーニング
トレーナーによると、目で覚えるタイプか耳で覚えるタイプかで練習の仕方が違うという。 「僕は視覚で覚えるタイプだったようで、紙の色やセンテンスの場所などが脳と連動しているから、必ず決まった紙に印刷してそれを徹底的に頭に焼き付けろと。 それと、周りの情景も脳と連動するから、いつもと違う場所に立たされると話す内容が飛んでしまう。だから同じ場所ばかりで練習しないようにと言われました」 その指導通り、毎日通しで10回近く練習を重ねたという。 「たった10分のスピーチなんですけどね。入浴中や会社と家の往復、時にはトイレに入りながら、毎日ひたすら練習していた気がします」