羽田の国内線発着枠、配分見直し延期 ANA系コードシェア「国が注視」
国土交通省航空局(JCAB)は6月26日、羽田発着枠配分基準検討小委員会(委員長:竹内健蔵東京女子大学教授)の4回目となる最終会合を開いた。2025年以降の国内線発着枠配分に対する考え方を検討する有識者会議で、新型コロナの影響で航空各社の状況を評価することは困難だとして、配分見直しは延期が決まった。新たな評価期間は、新型コロナが「5類」へ移行した2023年度から2027年度までの5年間とし、2028年に配分を見直す。 【空撮】緊急事態宣言直後に多くの飛行機が並ぶ羽田空港 一方、論点となっていたエア・ドゥ(ADO/HD)とソラシドエア(SNJ/6J)、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)の3社が実施している全日本空輸(ANA/NH)とのコードシェアや、筆頭株主が日本政策投資銀行(DBJ)のエア・ドゥとソラシドエアが共同持株会社リージョナルプラスウイングス傘下となった経営統合については、公正な競争を阻害していないかを、国が注視していく必要があるとした。 4年後の2028年に実施する評価の方法や項目については、運賃施策や地方路線維持の取り組み「3便ルール」、航空業界の環境変化に対する評価について、方向性が示された。運賃については、現場で働く従業員の待遇改善など費用の価格転嫁が不可避な状況であることから、一般的な物価変動を踏まえた評価としつつも、運賃の低廉化そのものを評価するのではなく、運賃水準の上昇を最大限抑える努力を評価すべきとした。 3便ルールは、羽田路線のうち総便数が3便以下の少便数路線をグループ化し、減便時はこれらの路線にのみ発着枠を転用できるとした制度。現状は評価期間中の増減便を勘案せず、期末時点の便数で評価していることから、期間中に増減便した場合は実際に運航していた期間に応じて案分した便数だけをカウントする方法に見直す方向になった。 転用の特例は1社1枠を上限に認める方向で、羽田-新千歳、伊丹、福岡、那覇の幹線4路線は転用対象外とした。また、能登空港のように震災などで空港に大きな被害が生じ、復旧復興の拠点としての役割を果たす空港は、転用制限緩和の対象外とすべきとされた。 環境変化への対応は、脱炭素化や人手不足への対応など、業界横断的な取り組みが求められる課題に対し、航空各社に対応を促す評価方法を検討していく方向性が示された。 また、地方自治体と航空会社が共同で地方路線の利用者を増やすアイデアを出し合い、優れた提案に配分する「羽田発着枠政策コンテスト」については、現行の配分を2025年3月29日まで継続することが決定。年内に懇談会を開き、取り組みの効果を検証して今後の方針を検討することになった。現在は羽田-鳥取、山形、三沢、石見、大館能代、下地島の6路線がコンテスト枠の配分対象になっている。
Tadayuki YOSHIKAWA