スロバキア語を1年で習得、最難関大学を卒業。羽根田卓也が体現する学びの楽しさ「何のために海外に行くのか?」
伝える時に大切なことは「人がどう受け取るか」
――ご自身の経験に基づいた感覚を、誰にでもわかりやすい言葉で丁寧に言語化されていますよね。「伝える力」については、どんなことを意識されていますか? 羽根田:やっぱり言葉の力ってすごいものがあって、同じニュアンスとか同じ内容を伝えても、伝え方一つで、人の受け取り方は大きく変わります。インタビューに答える時には、自分が何をしゃべりたいかじゃなくて、「人がどう受け取るか」を考えるようにしているんです。それはメディアのインタビューとかテレビで、自分を通してトライアンドエラーで反省を重ねて学んだことです。 人がそれを見て、聞いて、受け取った時にどう感じるのかということをイメージしながらインタビューや振る舞いを考えることで、本当に伝えたいことがすんなり伝わったり、人を傷つけないようにアドバイスができるようになったんじゃないかと思います。 ――パリ五輪について、「オリンピックへの挑戦や体験、感動を共有したい」とおっしゃっていましたが、羽根田選手の発信に注目が集まる1年になりそうですね。最後に、パリ五輪でのカヌー競技の見どころと、読者へのメッセージをお願いします。 羽根田:前回の東京五輪は無観客で、本来のオリンピックの姿ではなかったと思うのですが、今年のパリはきっとカヌー競技も超満員になると思いますし、オリンピックならではの雰囲気を味わっていただけると思います。その中で結果を残すことで、皆さんにより大きな感動を届けられるように頑張ります。 <了>
[PROFILE] 羽根田卓也(はねだ・たくや) 1987年生まれ、愛知県豊田市出身。ミキハウス所属。父と兄の影響で9歳の時にカヌーを始め、高校卒業後に単身、カヌー・スラロームの強豪国であるスロバキアへ渡り、同国を拠点として10年に渡り活動。オリンピックは2008年北京大会で初出場し、ロンドン大会では7位入賞。リオリオデジャネイロ大会ではアジア初となる銅メダルを獲得し、東京五輪では10位。昨年10月に行われたアジア大会で優勝してパリ五輪出場権を獲得し、5大会連続のオリンピック出場を決めた。
インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]