スロバキア語を1年で習得、最難関大学を卒業。羽根田卓也が体現する学びの楽しさ「何のために海外に行くのか?」
なぜ、スロバキア語を1年で習得できたのか?
――スロバキアに渡ってから3年間は競技に集中されたそうですが、現地の言葉を1年で習得されたそうですね。スロバキア語は日本人にとってあまり馴染みがなく、習得も難しい言語と言われますが、習得する上でどんなことが効果的でしたか? 羽根田:それはもう、現地の人とひたすら触れ合うことですね。僕の場合、周りの人たちが英語を使えなくて、情報量が足りなかったので、スロバキア語でコーチングを受けたいと思ったんです。スロバキア語を覚えることによっていろいろなことを吸収できれば自分のカヌーの技術が格段に上がると考えて、一生懸命やり始めました。 「何のために言葉を覚えるか」が自分の中ではっきりしていれば、必要に駆られて頑張れるのですが、ただ「なんとなく英語を覚えたい」とか、「なんとなく外国語を話したい」という目的だと、なかなか続かないと思うんですよ。 ――たしかに「なんとなく」だと、言い訳を作って先延ばしにしがちです。発音や文法、単語の暗記などはどのように積み上げていったのですか? 羽根田:机に向かうことは少なかったですけど、人と話したり、会話をよく聞くことは心がけていました。文法から学ぶのも大切ですけど、言語を習得する時に一番大切なのは伝えようとする気持ちだと思います。特にこちらが外国人の場合はその姿勢が何より大切なので、きれいにしゃべろうとか、正しい文法を使うことよりも、ジェスチャーも含めて「自分の思いをどう伝えるか」ということを一番大切にしていました。 ――スロバキアに渡って4年目には、スロバキアの最難関国立大学と言われるコメニウス大学に進学して体育学科でコーチングを専攻されました。試験や論文など、日常生活とは異なる難しい局面もあったと思いますが、どのようにクリアしていったんですか。 羽根田:大学に進学してからはスポーツの専門的な知識や言葉も必要になったので、机に向かう時間が多くなりました。ただ、大学の大きな試験は口頭試験だったんですよ。それもやっぱり現地の人から学ぶのが一番だったので、授業が終わった後に片っ端からクラスメートを捕まえて、「ご飯をおごるから教えてくれ」と言って、分からないところを教えてもらっていましたね。