スロバキア語を1年で習得、最難関大学を卒業。羽根田卓也が体現する学びの楽しさ「何のために海外に行くのか?」
スロバキア最難関大学と大学院を卒業「学ぶことで人生が豊かになる」
――高校卒業後に日本の難関私立大からスポーツ推薦の話もあったそうですが、スロバキアの大学で学ぼうと思った原動力は何だったのですか? 羽根田:まず、環境面で質の高いトレーニングを続けるためにスロバキアの大学を選びました。大学での学びを通してスロバキア語の言語能力も格段にレベルアップしましたし、スポーツの学びを深めることでパフォーマンスも上がりました。 ――卒業後は大学院も修了されています。学ぶことはすごくエネルギーのいることだと思いますが、それもアスリートとしての目的から逆算して大切なことだと考えていたのですか? 羽根田:趣味でも同じだと思うんですけど、どんな領域でも学びを深めれば深めるほど楽しくなってくるんです。僕の場合は茶道でも同じことが言えるのですが、表面的な知識しか持っていないとなかなか楽しめないんです。でも、学びを深めれば深めるほど、その奥深さが理解できるようになって、楽しくなりました。グルメもそうですし、ワインやアートも同じだと思います。だからこそ、普段から学ぶことに対して抵抗感を示さないようにしていて。覚えること自体は大変だったり、辛いこともあると思いますが、学んでいくことでその先の人生が豊かになって、楽しいことがたくさん起こると思っています。 僕はスロバキア語を学んだことで、カヌーの技術だけじゃなくて、スロバキア人の文化や国民性が理解できるようになって良かったですし、大学では人間の体のことや生理学まで掘り下げることで、自分のパフォーマンスにも活かすことができたので、学ぶことが楽しくなっていきました。 ――他の選手に指導をする際にも、それは生きていると実感しますか? 羽根田:そうですね。やはり学術的なことを学ぶと、自分が持っていた既成概念とか自分だけの視点から外れて、客観的に自分を見ることができるので。コーチングに関しても自分の主観だけではなく、客観的に見て目の前の選手が今どういうことに悩んでいるのか、どうパフォーマンスを上げたらいいのか、ということを理解した上で伝えることがすごく大事になります。だからこそ、視点・視野を広げるための学びは、大学だけに限らず必要なことだと思います。